「玉ちゃん」こと、王珏ちゃんは今、埼玉県さいたま市にホームステイしている。
会うなり、休みの日に、ひとり東京散策した話を始めた。
明治神宮・代々木公園・都庁を1日中歩き回り、
「すっごく歩いて足がいたくなりました」と笑った。
秋葉原や、ディズニーランドに行ったこともある。今度は横浜の中華街に、そのうち京都にも行ってみたいと言う。
積極的に出かける玉ちゃん。
小さい頃、ツアーコンダクターをやっていたお母さんについて、いろんな場所を訪れたことが彼女の心に根付いているのかもしれない。
放課後は、部活動に励んでいる。
以前バドミントンをやっていたこともありテニス部に入部したのだが、初めてのテニスはなかなか難しい。
練習におじゃました時のこと、
「みんな上手だけど、わたしはまだそんなに上手にできないから・・・」
と恥ずかしがっていた玉ちゃんは、いざ撮影になると上手に打っているところを撮って欲しい、と負けず嫌いだ。
彼女は毎週木曜日、さいたま市にあるボランティアの日本語教室に通っている。
色んな国から来た、幅広い年齢層の方々と一緒だ。
中でもボランティアの北村さんにはとてもお世話になっている。
「北村さん、本当に大好き!」
日本に来たばかりの頃、困っていることを相談した時、一緒になって泣いてくれたのだと、玉ちゃんは今でも感動しながら話してくれた。
積極的で人懐っこい彼女だが、中国にいた時はあまり人と話をしなかったという。
勉強や試験の順位のことで頭がいっぱい、他のことはなにも考えられなかったからだ。
「日本に来てから、深くものを考えるようになりました」
どう生きていくのか、自分は将来はどうあるべきなのか。
勉強ももちろん大切。でも、何といってもコミュニケーションの大切さを痛感している。
「明るくなりたい」という彼女だが、今でもじゅうぶん明るい!きっとこれが彼女の本来の姿なのだろう。
自分に向き合い、積極的に活動する日々。とはいえ、やはり中国に戻ったときのこと、特に勉強のことが気になってしまう。
放課後の部活を終え家に帰り、ご飯、お風呂、洗濯を終えると夜の10時半でもうクタクタだ。
この状況でいかに毎日勉強に向かうことができるか。彼女は今、そのバランスを模索している。
1年間という長い「旅」。中国で彼女を待つお母さんが半年後彼女と再会したとき、いったいどんなことを感じるのだろうか。
■ 七咲友梨
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