イベントレポート
『「ノルウェイの森」の小説と映画との比較研究』発表会
2018年12月8日(土)
2018年12月8日(土)、今学期四回目の日本語コーナーが外国語学院311室で行われ、中山大学日本語学科四年生の王羽晴さんが『「ノルウェイの森」の小説と映画との比較研究』という論文を発表しました。王羽晴さんは先日、この論文を以て「笹川杯日本研究論文コンクール」で二等賞をもらっています。
この日は寒波で気温が低かったにも関わらず、多くの日本語や日本文化に熱心な人が集まってくれました。王羽晴さんは、小説『ノルウェイの森』とそれをもとに映画化された作品をめぐる評価と販売量を比べ、映画の興行収入や評価があまり高くなかったことから、原作と映画では明確な人気の差が浮き彫りになったと指摘しました。なぜこのような現象が起きたのか、一つは映画では小説の三分の二もの内容がカットされたからです。カットされた部分は人物描写や雰囲気を作り上げるのに欠かせない要素であり、主人公を表現するためのシーンが少なかったり、不適当なシーンを選んだために、主人公が硬直で単一化してしまい、村上春樹の独特な文学表現が捨てられ、テーマを強調し観衆の共感を呼べる気の利いた文句に欠けた映画になってしまったと王さんは指摘します。もう一つは上映時間の制限のせいです。小説の緩やかな進め方と映画の速い進め方の間に大きい違和感があり、原作のファンの不満を招いてしまったのではないかと予想されます。
テキスト分析のほかに、王羽晴さんは映画『ノルウェイの森』の一部分を来場者に見せ、映像を通じて、先ほど指摘した問題点を来場者に直接感じ取ってもらいました。
発表が終わってから、来場者は関心のある問題を王羽晴さんと議論したり、質問したり、感想を話し合いました。来場者の一人が「こういう新たな形で日本語コーナーを行うのは面白くて興味深い」と言ってくれました。
和やかな雰囲気の中、日中民間交流に、小さくてもしっかりした橋をまた築くことができたと実感しています。
翻訳:広州ふれあいの場スタッフ