心連心ウェブサイトは日本と中国の若者が
未来を共に創る架け橋となります。

JAPAN FOUNDATION 国際交流基金[心連心]

日本と中国の若者が未来を共に創る

イベントレポート

「法を知り、俗に従え~日本における各種規範について~」をテーマにした交流会

2019年10月26日(土)

   済南ふれあいの場にて、「法を知り、俗に従え~日本における各種規範について~」をテーマにした交流会が開催されました。山東師範大学外国語学院日本語学科の張強博士が講演者として、日本の慣習と法律について紹介しました。今回のイベントには、済南ふれあいの場の責任者である山東師範大学日本語学科副主任の崔穎博士をはじめ、山東師範大学の日本人教師である福ヶ迫加那博士と、山東政法学院の日本人教師である石津竜也先生、山東師範大学や山東政法学院など済南市の大学に所属する学生約20人が参加しました。

   中華人民共和国駐大阪総領事館に3年間勤めた経験のある張強博士が、まずは、中華人民共和国駐日本国特命全権大使・政治部・総合政策部・教育部・領事僑務部など中華人民共和国駐日本国大使館の各部門の構成、各部門の職務が中国国内ではどの職務に該当するか、大使館と領事館の区別や作用を解説しました。大使館は大使が任地で公務をおこなう施設で、主に派遣先国での外交活動の拠点となっています。原則として、派遣先国の首都に置かれ、大使館には派遣国の特命全権大使が常駐しています。大使以下の外交官の大半は外務省出身者ですが、それとは別に、他省から出向した経済部門担当者や防衛・文化・入国関係担当者もいます。領事館は外国に住んでいる自国民や自国通商の保護を目的として業務を行うもので、自国の政治的代表として相手国との外交交渉をする権限はありません。領事館の設置場所や数などは派遣国の判断で行われます。領事館は大使館と同様に治外法権を有し、即ち書類や施設・敷地に対する不可侵権があります。

   続いて、日常の慣習が異文化交流に与える影響についての紹介では、良好な関係を維持するためには予め相手のタブーを知ることが必要で、そうすれば、誤解のない外国人とのスムーズなコミュニケーションが保証されると同時に、自分自身の利益や安全も保障されると学びました。張強博士は、日本の『軽犯罪法』を例として、日本社会における日常規範を詳しく説明しました。中国でよく見られる慣習は、日本だと違法行為になる可能性があるそうです。中国人が日本で生活するときにうっかり法律違反を犯してしまう例として挙げられたのは以下の通りです。
⑴人が住んでおらず、且つ、管理していない邸宅・建物・船に、正当な理由なく潜んでいた
⑵他人の生命を害する、又は、人体に重大な害を与えるのに使用されるような刃物・鉄棒などの器具を、正当な理由なく隠して携帯していた
⑶他人の邸宅や建物に侵入するのに使用されるような器具を、正当な理由なく隠して携帯していた
⑷公共の場において、粗野又は乱暴な言動で周囲に迷惑をかけた
⑸公共の場の照明を、正当な理由なく消した
⑹船等を水路に放置して水路の交通を妨げた
⑺国内外の官公職・位階勲・学位・その他法令により定められた称号を詐称した、又は、法令により定められた制服・勲章・記章・その他標章又はこれらに似せて作った物を無資格で着用した
⑻嘘の犯罪又は災害を公務員に申告した
⑼質入れ・古物の売買交換に関する個人情報に虚偽の申告をした
⑽公共の場において、太もも・尻・その他体の一部を露出する等して他人を不快にさせた
⑾ 住居・浴室・便所・更衣室といった衣服を着用せずにいるような場所を、正当な理由なく覗き見た
⑿公共的儀式において、進行の妨害又はいたずらをした
留学時に期せずして法律に抵触しかねない落とし穴を詳しく知ることができ、法律に対する意識は高まりました。

   最後に、張強博士は参加者の質問に辛抱強く答えた後、中国の法律は社会への悪影響や与えた危害の度合いを量刑基準にするのに対し、日本では違法行為そのものを量刑基準にすることを指摘しました。「郷に入っては郷に従え。外国へ行くときはタブーを知り、法を知り、法に従い、安全な旅を」と締めくくり、参加者から盛大な拍手を受けました。

   今回の交流会で日本の慣習・タブー・法律を知った参加者は、日中文化の差異を感じたと同時に、法律に対する意識が一段と高まりました。日本文化に対する興味や、日本の文化や社会への探究心も高まった、大いに有益なイベントだったと思います。

翻訳:済南ふれあいの場スタッフ

  • 国際交流基金 JAPAN FOUNDATION
  • 通过《艾琳》学日语
  • 日本国际交流基金会|北京日本文化センター
  • 日本国际交流基金会|北京日本文化センター[微博]Weibo