イベントレポート
「食のグローバル化を考える」をテーマにした交流会
2021年5月29日(土)
5月29日(土)午前、済南ふれあいの場はオンラインで「食のグローバル化を考える」をテーマにした交流会を開催しました。山東師範大学の日本人教師である石田曜博士が講演し、山東師範大学外国語学院日本語学部の副主任、副教授崔穎博士と山東師範大学に所属する90名程の学生が参加しました。
石田先生は寿司、ラーメン、和牛をテーマに取り上げてお話されました。例えば、寿司の材料の中に米国産のものがあり、ラーメンの包装に中国風の絵が印刷され、政治・経済などの影響で和牛がどんどん高くなりました。これらは全て「食のグローバル化」の現れです。このテーマに基づき、石田先生は標準化と現地化の二つの面から紹介しました。標準化はコスト節約、ブランドイメージ確立、投資回収が早いなど規格統一のメリットがあります。それに対して現地化のメリットは、顧客満足度の向上、変化の対応速度、現地法人の自主性・人材育成促進が挙げられます。
次に、石田先生はマクドナルドと吉野家を例として、グローバル化された世界の食文化を説明しました。マクドナルドは100か国以上の国々に店舗を構え、店内のデザインはほぼ同じですが、人に与えるイメージは異なっています。例えば、アメリカではチップが必要なく、一般的な安いファストフードと位置づけ、中国では若者や子供に人気があるファストフードです。しかし、インドではマクドナルドが高級でお洒落な店、週末のファミリー向けの良い場所です。場所に応じて、フードの種類には地域差があります。そして、吉野家という牛丼ブランドを紹介しました。吉野家は松田栄吉氏が明治時代の魚河岸で働く人々に「はやい、やすい、うまい」牛丼を販売するところから始まりました。戦後、1960年代末から急速に多店舗化になり、1977年に全国で100店舗を超えました。吉野家は地域に応じてメニューを変えています。例えば、フィリピンのTempura Bowl、タイの鳥天丼と野菜天ぷら丼、シンガポールのJapanese Donと中国の豚カツ丼などがあります。
そして、石田先生は吉野家の店内デザインと烏龍茶を例にして、主に飲食の現地化の重要性を紹介しました。まずは吉野家の店内デザインです。日本の吉野家では、カウンターは店の中央に設置します。一人でもカウンター席に座りやすく、店員にとって、客が来るとすぐ注文でき、最短距離で客に牛丼を提供できます。しかし、アメリカや中国では評判が悪く、採用されていません。アメリカではファストフード型にデザインされ、それに対して、中国ではいくつかのテーブルが連接して、会食に便利なデザインとなっています。そして中国から伝わった烏龍茶は瘦身や美容に効果があるとされ、1979年に伊藤園が中国畜産進出口総公司と契約して、1981年2月に世界初の缶入り烏龍茶を商品化しました。その後、1990年代の烏龍茶のCMを見て、日本で烏龍茶が現地化していく過程を示しました。
最後のディスカッションでは、炭火焼肉、カレー、新型コロナウイルスの影響を受けた日本のレストランについて話し交流しました。今回の食のグローバル化交流会を通じて、学生たちは食文化への関心が深くなり、視野が広がり、いい勉強になったと言いました。
翻訳者:李暁霞