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イベントレポート

[レポート]広州ふれあいの場:「ショートショート」 の書き方講座

2021年1030日(土)

 国際交流基金日中交流センター主催、広州ふれあいの場と重慶ふれあいの場共催の「ショートショート」 の書き方講座は、20211030日北京時間の1330-1530にて開催されました。今回の講座はショートショート作家として活躍されている田丸雅智先生を講師にお招きし開催しました。このイベントはオンラインとオフラインの同時開催となり、広州ふれあいの場のオフライン会場では、中山大学日本語学科の教員と学生たち合わせて30人程が参加しました。

 この講座は「発想力と論理的思考力の強化」が目的であり、自分の想像力を活用して、誰でもユニークなショートショートを創作することができると田丸先生は強調しました。そして、ショートショートの創作には3つのステップがあるとしています。まずは「不思議な言葉をつくる」こと。よく使われる10個の言葉をランダムに書き、その中から1つを選択し、それに関連付けられる10個の単語を書いていきます。2番目のステップは「不思議な言葉から想像を広げて行く」こと。最初に書かれた10語とその後書かれた10語を組み合わせて、新しい語彙を作成します。たとえば、「発電に使えるタコ」や「ぽかぽかする傘」など。この言葉を中心に、使い方や長所や短所などを想像していきます。そして、最後のステップは、「想像したことを短い物語にまとめる」ことです。

 学生たちは田丸先生のご指導のもと、「にわとり花火」「黒い雪」「生命交換の湖」「本音カメラ」「食用便箋」「食べられる髪」といった面白い言葉を作り出しました。そして、それらの言葉に基づいて不思議な物語を作成しました。最後に、中山大学と重慶師範大学の学生が2名ずつ、自分の作品を読み上げました。中山大学の学生は「記憶を食う鳥」と「おいしい椅子」の2作品を読み、そして、面白くて発想豊かな作品だということで田丸先生から高い評価をいただきました。

 イベントの最後に、田丸先生が今後もショートショートの創作を続けるようにと学生たちを励ましました。学生からも次のような感想が寄せられました。
 「今回の講座を通じて、ショートショートに興味を持つようになった。」「文学創作の固定観念を打ち破り、身の回りのものからいろいろ思いをめぐらすことが大切だということを知った。田丸先生の講座を通じ、リアルな日本の教授法が体験でき、実際の創作を通じて日本文学の面白さを実感できた。」さらに、「文学には国境がない」という声もありました。
 田丸先生のショートショートの講座は楽しい雰囲気でお開きとなりましたが、皆のショートショートの創作は今、始まったばかりです。

<講座で読み上げられた学生の作品>

記憶を食う鳥

   人間はそもそも夢を見ない。あの鳥の食料を見ているのだ。あれは記憶を食う鳥。人間の記憶に頼らざるを得ないがゆえに、人間が眠っているときに、あいつが脳内に侵入する。あいつは自由に夢の中を飛び、人間の意識をもてあそぶ。お気に入りの記憶を見つけたら、食べる。そしてどんどん成長してゆく。大きくなれば産卵する。そして、このようなことが繰り返される。それで、人間は年を取りながら記憶を失ってゆく。あいつらは見つからないうちに人間の過去をむさぼる。強欲で恐ろしいものだ。
(曾祥程さんの作品)

おいしい椅子

 うちの学校では、全部の椅子が「おいしい椅子」に換えられた。その椅子に座ってみると、普通の椅子と何の違いもなさそうだ。しかし、おなかが減ってしまったとき、椅子から小さいひとかけらを取れば食べられるのだ。それで、あれから、授業中、椅子がどんどん食べられてしまい、壊れたりして、学生が椅子から転落したりすることも頻出していた。
(张莉唯さんの作品)

 

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