イベントレポート
第一回日中大学生フォーラム
日本国際交流基金日中交流センターと広州ふれあいの場が主催した第一回日中大学生フォーラムが2017年11月18日~19日に、中山大学外国語学院にて行われました。
国際交流基金北京日本文化センターの菊池園子氏が引率する北京の各大学からの大学生6名(日本人留学生4人、中国人大学生2人)が、中山大学日本語学科、フランス語学科、地理学院の18人の学生と一緒に、二日間にわたって、日本語によるディベート、ビジネスモデルの発表、ミニディスカッションを行いました。フォーラム後のフィールドワークでは、中山大学の学生たちが広州の新旧市街地を案内しました。二日間の活動を通じて、双方は交流を深め、友情が築かれました。
17日午後5時ごろ、北京からのフォーラムメンバー6人が中山大学南キャンパスに到着しました。彼らは広州の暖かい天気と美しいキャンパスに驚き、宿泊の手続きと晩ご飯を済ませた後、広州ふれあいの場で中山大学のフォーラム参加者と打ち合わせをしました。
18日はディベートを2回行いました。中山大学日本語学科の徐愛紅先生、李栄先生、南明世先生、国際交流基金北京日本文化センターの菊池園子様氏が参観しました。最初のディベートは、「電子決済に賛成か反対か」をめぐって、積極的に主張を交わしました。賛成側は個人、企業および社会全体からの理由を述べ、反対側は電子決済の普及背景を原点として、その安全性、数字と消費の関係、金銭価値観などの点から、電子決済が急激に進んでいることに異議を唱えました。
午後は、「海外留学の低齢化に賛成か反対か」というテーマでディベートが行われました。早期留学は語学力、自立能力、異文化コミュニケーション能力を高めることに役に立つと賛成側が主張をしました。それに対して、反対側は早期留学生が環境に適応しにくいこと、誘惑や危険にさらされやすいこと、親との交流が減ること、そして将来帰国して就職する際に不利になるという問題点を挙げながら反対理由を述べました。
二つのディベートが終わったあと、中山大学の学生たちは北京からの学生たちを広州の有名な花城広場と北京路歩行者天国へ案内し、本場の広州料理を堪能しました。中国北部からと日本から来た彼らは広州料理を褒め称え、北京の家族や友達へのお土産もたくさん買いました。
19日は、「広州に日本人を呼ぶためのビジネスモデルを考えよう」という発表会と、日本と中国の若者の恋愛観についてのミニディスカッションを行いました。午前中には、ビジネスモデル発表会の事前会議があり、参加メンバーはまずそれぞれ自分の提案を紹介し、それからくじ引きで三組に分かれ、午後の発表本番に向けて準備に取り掛かりました。
午後の発表会では、村上春菜、米淳華、劉悦の三人からなる第2チームが創意に富んだ「chipay」という提案で優勝を勝ち取りました。外国人観光客たちでも中国で電子決済できるように、「chipay」というアプリを開発するという提案が発表されました。そのアプリの使用対象は日本人観光客だけでなく、広州に限らず、世界中に広がる可能性があると彼女たちは主張しました。第2チームの発表は、先生や観客たちから高い評価を獲得し、優勝を手に入れました。
フォーラムの最後の課題は気楽で楽しい「中日若者の恋愛観」をめぐるミニディスカッションでした。ディスカッションはレスポンスカードで行われました。一連の問答を通じて、日中若者の恋愛観に大きな違いがあることが浮き彫りになりました。例えば、日本の若者はロマンチックなことを重んじるのに対して、中国の若者は実用主義という傾向がみられました。公共の場における親密な行為については、日本人の若者にしてみれば恥ずかしい行為であるのに対して、中国人の若者たちは理解できるものと主張しました。ディスカッションで、皆は妙句を連発し、観客たちを笑わせました。余興として、ゲームも行われ、会場の雰囲気は大いに盛り上がりました。
夕方からの打ち上げで、北京から来たメンバーは事前に用意していた出し物で場を盛り上げ、みんなでおいしい料理を味わいながら、会話を楽しみました。
北京からの学生たちは広州を発つ前に、中山大学日本語学科二年生の会話の授業を見学しました。平松先生が司会を担当し、日中の大学生が日中両国の文化や生活習慣などの違いについて話し合いました。中国と日本は一衣帯水の隣国で、生活習慣の面では似ているところも多いです。しかし、両国の地理や歴史などが異なるため、違いも少なくないです。文化の違いを理解した上でこそ、異文化コミュニケーションが文化摩擦を減らし、意思疎通がより順調に行われることでしょう。
みんな名残を惜しみながら、第一回中日大学生フォーラムは幕を閉じました。国際交流基金のご支援のもと、今回のフォーラムは成功裏に開催することができました。それに、広州ふれあいの場の学生たちと北京からの学生たちの積極的な参加としっかりした準備があったからこそ、フォーラムの成功につながったのだと思われます。この成功は、みなさんの努力のたまものです。今回のフォーラムという新たな試みを通じて、今後の日中大学生交流事業がより多彩多様に行われるようにと期待します。そして、今回のフォーラムを通じて、日中の大学生はお互いに厚い友情を築いたうえに、今後も日中友好交流ひいては日中相互理解をより深めるよう努力していく決意を固めました。
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翻訳:広州ふれあいの場スタッフ