日中国交正常化50周年記念事業
ショートショート創作コンテスト
僕の仕事場には陽キャの先輩がいる。
いつもキラキラ輝いていて、それはそれはもう眩しい。特殊なサングラスをかけなきゃ、そいつの顔なんか見ていられないよ(笑) その上熱血タイプなのか、普段から暑苦しいったらありゃしない。まさに陽キャの中の陽キャ。僕はおとなしくじっとしていたいタイプなのに、そんなことはお構いなしで、僕を含めた多くを明るく照らしてくる。本音を言えばすごくうっとおしい。まあ、そんな陽キャだからこそ、たくさんの人々がこぞって頼りにするんだけど。
けれど困ったことに、先輩は浮き沈みが激しい一面もある。特に雨の日。僕は雨の日に、先輩に会ったことがない。どうやらふわふわの綿の布団にくるまって、引きこもってしまっているようなんだ。
僕としては静かで丁度いいなって思うんだけど、その代わり僕も仕事ができなくなるんだよな。いや、僕だけじゃない。僕の同僚たち含めた多くは、先輩がいつもみたいに顔を出してくれないと、普段の仕事ができなくなっちゃうんだ。
まったく、僕たちの立場をもうちょっと考えてほしいよ。陽キャっていうのはあらゆるものを照らして恵みを与える存在のくせに、ほんと自分の都合しか考えてない。それで振り回されている人々が多いことも、きっと先輩は知らない。ああ、だから陽キャは嫌いなんだ。先輩がいなきゃ、僕はほとんど何もできないのに。先輩が働いてくれなきゃ、僕はただの鉄の塊でしかないのに。
ソーラーパネルの僕は、今日も体が雨で冷たくなっていくのを感じながら、雲の向こうの先輩を待ち続ける。