日中国交正常化50周年記念事業
ショートショート創作コンテスト
六年前、ある一人の青年が海に向かって瓶を放り投げた。
その蝋でちゃんと封じた瓶の中には手紙があった。その青年以外誰もわからない文字で書かれた手紙だ。なぜかというと、その青年こそその文字の創造者だからだ。
「ねえ、知ってる?あの転校生、実は宇宙人なんだって。」
「やっぱり。左手で食べたり書いたりしてるし、いつも変なことを言ってるし…」
友達が一人もいなかった青年は、なぜ周りの人が最初は自分のことに好奇心を抱きながら近づいてきたのに、ある日突然自分から遠ざかるようになったのだろうかと考えていた。
他人から理解されない孤独を解消するために、青年は誰にも読めない、新しい言葉を心を込めて作った。自分が本当に別世界から人類を観察している学者であると信じて、毎年その日になると瓶を海に放り投げた。
手紙の内容も毎年同じだった。
内容が分かっているあなたへ
もしこの手紙を見つけたら、ぜひ12月31日の朝8時(北京時間)に下記の場所までお越しください。
(ご案内)
ストナ国人類研究院特派研究員 ジンホウ
誰も来ないだろう。いや、それは当たり前じゃないか。しかし…
青年は苦笑いして、涙があふれてきた。
時間はなんと速く経つのだろうか。六年後の今日、また大晦日になって、青年はまた「約束」の喫茶店の隅に座った。
自分は馬鹿じゃないか。無断欠勤してまで毎年毎年ここに来るなんて。
今の青年にとって、この日はもう「祝日」になったかもしれない。これまで確かに誰も来なかったが、この日だけ一切仕事上(学生時代の青年にとっては学業上)のストレスや日常の疎外感から逃げ出し、自分の好きなことさえできればそれで十分だ。
それはそうだけど、やはり何かを期待しているなあ。今年、あの人は来てくれるのだろうか。
「Izank Spis!」
青年は驚いた。コーヒーを飲んでいる間に、ある綺麗な金髪少女が対面に座り、青年以外誰も知らないはずの言葉で「初めまして」と言ったのだ。
「嘘…しかし何で…あ、つまり、あなた、瓶を…」
「実は一年前アメリカに届いたんだよ、あの瓶は。当時内容を信じなかったけど、今年日本に旅行した時も同じのを見かけた。海流に乗ってずっと漂流して、ロマンチックだなあ。」
「解読してくれてありがとう。と言うことは、あなたはスパイか。言語学者か。何で僕の空想や造語を…」
「空想?馬鹿なこと言うなよ、先輩!あたし、地球に来たのは六年前だったんだ。」