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JAPAN FOUNDATION 国際交流基金[心連心]

日本と中国の若者が未来を共に創る

日中高校生対話・協働プログラム
令和5(2023)年度事業報告

現代日本に見る中国文化~行事・食事・文化編~
(長崎県立壱岐高等学校・福州外国語学校)

1. 実施概要

事業名
日中高校生対話・協働プログラム
日本側実施学校名
長崎県立壱岐高等学校
中国側実施学校名
福州外国語学校
参加者
日本:21名(教員2名/支援員1名/生徒18名)
中国:23名(教員3名/生徒20名)
実施および形態
Zoomにて計4回
使用言語
日本語、中国語

2. 個別回の実施状況

第1回目
実施日時
2023年9月20日

日本

自己紹介、学校・地域の紹介
「現代日本に見る中国文化~行事編~」

昨年度に引き続き2度目の交流ということで、生徒たちは再会できてとてもうれしそうだった。お互いの雰囲気も分かっているので、すぐに打ち解けることができた。
日本には中国から様々な行事が伝わってきたが、それぞれ独自に発展していることが分かった。

中国

中国・中秋節の紹介

日本側生徒から壱岐に関する紹介があった。壱岐の美しい風景、特に猿岩の独特な景観や明るい海岸、さらには焼酎や牛肉といった特産品についての説明が特に印象に残る。今回の交流会では、誠実な交流、日中友好を深める姿勢、そしてお互いの文化について共有したいという熱意がみられた。
日本側生徒の発表により、本校生徒は日本の歴史や地理に関する多くの「豆知識」を学んだ。これらは通常の歴史や地理の授業では扱われない内容である。今後の活動においては、日本の皆さんと共に語学力を高め、互いに成長していくことが期待される。

第2回目
実施日時
2023年10月25日

日本

現代日本に見る中国文化~食編~

日本で一般的な中華料理と本場の中国料理との違いについて、生徒たちは興味深く学ぶことができた。中国の生徒は、PPTに分かりやすくまとめたり、家庭で餃子をつくる様子を撮影したものを見せたりするなど、とても工夫されていて、本校生は大いに触発された様子であった。

中国

日中食文化の紹介

第2回の交流会では、日本側生徒の中国語の堪能さに加え、パワーポイントで用意されたすばらしい資料にも注目した。特に、美味しそうな食べ物の写真に添えられた中国語での解説には、細やかな心遣いが感じられた。最も印象深かったのはオレンジチキンで、機会があればぜひ食べてみたい。最終セクションでは、深川先生の発表を聞き、壱岐に咲くコスモスに秋の色合いがより一層深まっていることを感じた。日本側生徒たちはとても親しみやすく、熱心であった。今回の交流会では、生徒たちは中国料理と日本料理の食材や由来について深く理解することができた。さらに、表現が流暢になり、自信を得て、より視野が広がった。

第3回目
実施日時
2023年11月22日

日本

「現代日本に見る中国文化~文学編~」
佐賀県吉野ヶ里遺跡におけるフィールドワークの報告
『長恨歌』についての探究成果の発表(3年生)

漢文からゲーム、漫画まで、幅広い内容でそれぞれ発表することができた。3年生は古典の授業で学んだ『長恨歌』についてさらに探究し、現代中国の舞台芸術やサブカルチャーに与えた影響について発表した。中国の高校では授業で『長恨歌』は学ばないそうだが、日本人である私たちが中国の古典文学を学んでいることをとても喜んでくれたのが印象的であった。
また、吉野ケ里遺跡においても、生徒たちは中国とのつながりの深さを再認識し、歴史もしっかり学ぶ必要があると感じたようだ。

中国

中国文学作品の紹介

第3回の交流会では、中国の四大名著、古詩、散文、そしてネット文学等を日本側生徒に紹介した。偶然にも日本側生徒が白居易の「長恨歌」を取り上げており、その生き生きとした鮮やかな描写は白居易の詩が世界的に愛されていることを改めて感じさせるもので、うれしく思う。今回の交流会では、日本人が白居易を好んでいるという事実を通じ、日本人の白居易に対する思い入れを実感した。日本側生徒の紹介を通して、中国文化が日本においてどのような存在であるのか、また、日本の著名な作家や小説についての理解を深めた。本校生徒は、日中双方の文化の魅力を学び、異なるスタイルで書かれた詩のそれぞれに独特の美しさがあることを発見した。また、日本側生徒の中国語能力が顕著に向上していることにも気づき、今回の交流会は非常に興味深いものであった。次回の交流会も期待しており、互いに成長し続けることを願っている。

第4回目
実施日時
2023年12月20日

日本

「現代日本に見る中国文化~若者編~」
古代技術体験(勾玉づくり)の報告
活動の振り返りをまとめた動画(日中それぞれ)
オンライン合唱

日本の若者の間でも人気がある中国製のゲームについては、お互いに話が尽きない様子であった。中国の高校生は日本の小説もよく読んでいて、本校生は中国で日本の作品が受け入れられていることを知り、とてもうれしそうであった。
お互いに制作した振り返り動画を視聴した後オンライン合唱を行ったが、終始笑顔にあふれ、友情の深まりを感じることができた。

中国

中国で人気のある日本の作品(書籍、歌、ゲーム、映画、料理等)

最終回の交流会では、誰もが日本の友人との別れを惜しむ気持ちでいっぱいだった。今回の交流会を通じて、私たちは日本の文化、風習、風景が中国と大きく異なっていることを学んだ。日本の作品が中国で広く受け入れられ、大きな影響を与えていることに日本側生徒は驚き、私たちも日本の作品の魅力を深く感じた。この過程は、双方にとって非常に有意義な経験であったことを実感させるものだった。
交流会の初期段階では、双方の生徒間で不慣れさと緊張があり、場面によっては気まずさが生じていた。しかし、時間が経つにつれ、お互いにオープンなコミュニケーションを取ることができるようになり、その難しさや気まずさが減少した。今回の交流会では、本校生徒の日本語ライティング能力、リスニング能力、スピーキング能力が顕著に向上した。最終的には、「紅日(それが大事)」を一緒に歌うなど、交流の美しい瞬間を共有し、記録を振り返りながら、明るい笑顔で終わりを迎えた。このような純粋な友情は非常に貴重で、何ものにも代えがたい経験であった。

3. 実施の成果

参加生徒の感想

日本

拙い中国語でも自分の言葉で伝えようと努力し、伝わった喜びも伝えられない悔しさも両方味わい、中国語の学習意欲の向上につながった。
日中の文化や高校生活の違いについて学んだ一方、同じ高校生として共感したり、親しみを感じたりすることもとても多かったようだ。
会話を弾ませるためにはもっと中国語能力を向上させる必要もあるし、話題を提供するためには多方面への知識・教養が必要であるということを学んだ。

中国

今回の交流会では、本校の日本語クラスの中から、交流活動に興味があり、一定の日本語能力を持つ高校1年生13名と高校2年生7名、合わせて20名が参加した。高校2年生が指導役となり、高校1年生が積極的に探究を進める形式が採られた。特に、高校1年生の成長の速さには目を見張るものがあった。彼らは迅速に自立し、交流会の終盤には非常に喜ばしい成果を示した。今年度の交流会は4回に限られていたが、これらの交流は生徒たちの日本語学習の大きな刺激となった。自主学習とチームワークの融合、個人の努力とグループ活動の統合から、生徒たちは日本語以外のスキルも学んだ。

時間は瞬く間に過ぎ去り、今年度の交流会は歌声と共に終わりを迎えた。この経験は、生徒たちにとって忘れがたい思い出となるだろう。当初は控えめだった生徒も、今では積極的に発言し、交流に参加する勇気を持つようになった。無知の状態から始まり、今では物事や問題を客観的かつ全面的に見ることができるようになった。
また、生徒たちのスピーキング能力が向上し、日本語学習の大きな助けとなった。昨年の交流会に参加した生徒の多くは、今年の交流会で昨年話した友人と再会し、さらに新たな友人も得た。わずか数回の交流会であったが、私たちの間の友情は深まり、同じチームの生徒は交流前のグループワークを通じてさらに友情を深めた。この交流会を通じて生徒たちが多くを得られたことに感謝する。
皆さん、ありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしています。

担当教員の所管(成果を含めて)

日本

  • 中国語の学習成果を試すとともに、中国語学習への意欲を高めることができた。
  • 発表のために歴史や文学について調べ学習をする中で、改めて日本と中国のつながりの深さについて学ぶことができた。
  • グループ活動において全ての生徒が発表する機会をたくさん設けたことで、積極的にコミュニケーションしようとする生徒が増えた。
  • 福外の皆さんに友好的に接していただいたことで、ますます中国が好きになり、将来日中友好に貢献できる人材になりたいという気持ちが高まった。

中国

福州外国語学校の「心連心」日中高校生対話・協働プログラムへの参加は、国際交流基金・日本文化センターとの長年にわたる友好的な協力関係を受け継ぐものである。このプログラムは、学校間の国際交流と協力を促進し、海外の学校との関係を築くことが可能となる。オンラインでの交流や生徒の訪日交流等を通じ、学校の国際的影響力と国際化レベルの向上に寄与する。

また、「心連心」プログラムは教職員と生徒の国際的視野と異文化間コミュニケーション能力を高める。異なる国の文化や教育システムを理解し、異文化間コミュニケーション能力を高めることで、教職員と生徒の個人的資質の向上と学校の教育品質・国際化レベルの向上に貢献する。

さらに、「心連心」プログラムは生徒の総合的資質と就職競争力を強化する。自らの国際的視野を広げ、日本語能力と異文化間コミュニケーション能力の向上を図ることで総合的資質を強化し、将来の進学や就職市場での競争力を高めることで、卒業生の進学・就職支援を支援する。
総じて、「心連心」プログラムは本校にとって多面的な意義を持ち、学校の国際化促進、教職員と生徒の個人的資質の向上、生徒の総合的資質と就職競争力の強化に寄与する。国際交流基金からの長年の支援に感謝する。このプログラムは教職員と生徒に多大な利益をもたらし、影響を与えるものであることを確信している。

今後期待すること

日本

4度の交流活動を経て、今年初参加の2年生もネイティブとの交流に慣れ、極度に緊張したり身構えたりすることがなくなった。今後も国際交流活動をする際には、自分たちの方から壁を取って積極的にコミュニケーションを図らせたい。

昨年本プログラムに参加した3年生が、今年初参加の2年生に教えるという体制を整えた。上級生がリーダーシップをとり、下級生に伝えていくという伝統をつくることで、担当者が異動等で代わっても国際交流活動が途絶えることがないようにしたい。

中国

「心連心」日中高校生対話・協働プログラムは、今後の本校の国際交流事業において多方面でのポジティブな影響を及ぼすものである。まず、本プログラムは本校生徒の国際的視野と異文化間コミュニケーション能力の向上に大きく貢献する。日本側生徒との交流を通じて、本校生徒は日本の文化、社会、教育体系について深く理解し、国際的な理解力と異文化適応能力を強化することができる。これは、グローバル競争力を有する人材育成において極めて重要である。

次に、オンライン交流活動によって、本校と日本の学校との間でより緊密な関係を構築し、友好的な交流と心からのコミュニケーションのための基盤を築く。オンライン交流はまた、本校の特色と強みをアピールするプラットフォームとなり得る。交流の過程で本校は、その教育理念、カリキュラム設計、科学研究成果、キャンパス文化等の特色を紹介でき、これにより日本の教職員と生徒からの注目と関心を集めることが可能になる。
今後も、交流の成果と経験を次世代に伝え、国際的視野を持ち、総合的にバランスの取れた人材育成に向けて努力を続けていく所存である。

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