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日中高校生オンライン交流会
使用言語日本語・中国語
実施形態Zoomにて計4回
- 沖縄県立向陽高等学校
- 南京外国語学校
15名(教員2名/生徒13名)
21名(教員3名/生徒18名)
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第1回自己紹介-お互いに学習 している言語を使って自己紹介しよう!
初めてのオンライン交流ということもあり、生徒も教師も緊張の中交流会がスタートした。時間になり、相手校の生徒が1グループ、また1グループとパソコン画面に映し出される度に、生徒からは歓声が起こり、オンライン交流を心待ちにしていたことが伝わってきた。今回オンライン交流を実現させることができ、私としても感慨も一入であった。
向陽高校の生徒から自己紹介がスタートしたが、あまりにも相手を意識し過ぎていたのか、事前にしっかり準備をして臨んだ自己紹介も、作成していた自己紹介文を読み上げる生徒が多く、せっかく準備していた「私の好きな漢字一文字」の紹介もせずに自己紹介をさっさと終えてしまう生徒もいて、非常に残念に思った。
南京外国語学校の生徒はというと、はっきりとした日本語で一生懸命に自己紹介していた。そんな両校の生徒の差は、生徒の学習に対するモチベーションが大きく違っていること、さらに本校生徒の自信のなさ、チャレンジ精神の低さがあるのだと感じた。それは生徒自身も感じた様で、Classiによるアンケートで、「上手く伝えることができず悔しかった」や、「自信を持ってしっかり伝えないと伝わらないと思った」、「書いたものを棒読みするだけでは伝わらない」等、多くの反省と気づきがあった。さらに、「中国の高校生との学ぶ姿勢の違いや、学習言語をできるだけ運用し交流をしていこうという姿勢を持たなければいけない」とのコメントもあった。「失敗することを恐れずチャレンジする」ことの大切さを生徒に理解させ、体現させていく仕掛け作りをしなければならないと感じた。
日本の学校の学生たちからは、大きな熱意と友情を感じた。また、中国の学生に日本の文化や社会、さらには沖縄について紹介するため、おもしろいQ&Aのコーナーを用意するなど、十分な準備をしてくれた。そのお陰で、楽しくふれあいながら沖縄のことを学び、お互いの理解を深めることができた。
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第2回私たちの学校紹介と地域紹介、地元クイズ
1カ月ぶりの再会にちょっと緊張気味の生徒達であったが、お互いに挨拶を交わし第2回目の交流会がスタートした。
まず、本校生徒より学校紹介ビデオが上映され、その後沖縄に関するクイズが日本語で出題され ていった。南京外国語学校の生徒は、発音も不安定な本校生徒が中国語で学校と地域紹介するのを一生懸命聞き取ろうとしているのが分かった。また、日本語で出題されるクイズにも、隣の友人と意味を確認し合いながら積極的に答えてくれ、交流に前向きな姿勢にとても好感が持てた。次に、南京外国語学校の生徒の学校紹介と南京に関するクイズも日本語で丁寧に進められていった。学校紹介動画が上手くこちら側と共有されないというトラブルもあったが、彼らは自分たちでいろいろな方法を試み、現地でスクリーンに動画を投影したものを別のスマートフォンでこちら側に見せてくれた。中国の生徒たちの問題解決能力の高さには感心させられた。さらに、学習言語でできるだけ理解し運用しようとしている彼らの姿勢は本校の生徒たちも見習うべきところだと感じた。
Classiによるアンケートでは、「反省をいかし、前回に比べ自分から話すことができた」という感想もある一方、「事前に中国語で話そうと準備していた事すら言えず、相手の日本語に頼ってしまった。」や、「日本語でどんどん質問したり紹介したりしていて、語学力だけではなく、間違いを恐れず、日本語に対する強い気持ちが感じられ、意識の差にショックが大きかった。」等の感想もあった。彼らの中国語指導を担当する者として、コロナ禍で1年以上も中国人ALTがいない中ではあるが、その意識の差を縮めるために、いろいろと仕掛け作りをしていく必要があると痛感させられた。
日本の高校のカリキュラムや日本の高校生の勉強・生活について、直接目の前で紹介してもらうことで、非常にイメージしやすい形で理解を深めることができた。日本の友人に対しては、中国の江蘇省を中心とする教育の状況や南京外国語学校の概要について紹介した。
日本の学校が放課後にさまざまな「部活」を行っていることは以前から知っていたが、学校生活について話し合う中で、とてもおもしろい部活があることを知った。私たちの学校にもたくさんのクラブがあるので、これからは多くの活動に参加しながら、活動の企画にも積極的に関わっていきたい。
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第3回日中のフードロスの現状と課題、私たちにできる事
今回より交流途中で、グループ毎に分かれ、より少人数で意見交換や話し合いが進められるように、Zoomのブレイクアウトルームを使用することにした。
本校では11月11日に既に沖縄環境科学センター(岩村氏)より講話を受け、その後も生徒たちは時間を見つけては関連書籍やインターネットで各国のフードロスの現状について調べ学習を進めていた。ある程度フードロスに対しての知識も深まり、自分の見解を持ち交流会に臨むことができた。
事前に日中の生徒を4グループに振り分け、日中交流センターの職員2名、南京の韦先生と私をそれぞれのグループに配置し、交流の様子を観察した。相手校はスマートフォンで参加しているグループもあり、途中で通信が途切れることもあったが、適宜別のグループに組み込み、できるだけ両校の生徒同士がお互いに話し合えるようにした。
Classiのアンケートには、「相手の反応を見ながらじっくり話をすることができ、楽しかった。」や、「前回よりも、会話や質問がしやすかった。」、「自分の意見をしっかり言えたと思う。」、「いつもよりたくさん交流ができた。」等の感想が多かった。
ブレイクアウトルームを利用し少人数であれば、ハードルが下がり、より深く話し合うことができ、「相手に伝えたい、理解してもらいたい。」という気持ちがさらに深まることが分かった。中国のフードロスの現状と対策についての知識も深まり、自分たちがこれから取り組んでいくことについても話し合うことができたようである。3回目の交流で、やっと自然体で、自分の意見を相手に伝えようという気持ちが生徒に見られるようになってきたのに安堵し、嬉しくもなった。
日本のコンビニの余剰食品の処理方法をはじめ、日本の食品ロスの状況や食品ロス対策への取り組みについて知ることで、食べ物のありがたみを改めて感じるとともに、一層の節約を心がけ、食べ残しゼロに向けて行動を起こさなければならないという思いを新たにした。
食品ロスに関する話し合いでは、日本人の対策が私たちとほぼ同じであることがわかった。ただ、なかには新しい対策もあり、勉強になった。日本(個人)の対策を見習いながら、自発的に行動を起こし、微力ながらも中国の食品ロスを減らすために貢献したいと思う。
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第4回私の夢
オンライン交流の最終回には、お互い今後の希望を語り合える交流会にしたいという思いで、前回の交流会で「私の夢(我的梦想)」を学習言語で語り合うということを提案した。交流校の韦先生はじめ生徒も了承してくれて、今日の交流会を設けることができた。
前回からブレイクアウトルームを利用し、生徒も自分の意見を伝えることにあまり抵抗を感じなくなってきているので、どんな夢を語り合い、交流が展開されていくのか、私としてもとても楽しみであった。
ホストとして全グループの交流状況を確認しながら、1つのブレイクアウトルームに参加し、交流の様子を見ていた。交流途中に別のブレイクアウトルームの相手校の生徒の通信が途絶えたので、別のグループに振り分けたが、じっくりお互いの夢を語り合えないグループがあったのはとても残念であった。それでも、「将来の夢」を語り合った後は、どのグループも高校生ならではの話題で盛り上がっていたようである。交流会の最後には、自然に連絡先を交換し合う姿も見られた。交流終了後も生徒同士が繋がり続け、お互いに交流を深めていってくれることを期待している。事後アンケートには、今回の交流を通して、多くの気づきと学びがあったとのコメントがあり、私自身も、外国語指導者としての課題も見えてきた。今後も自己研鑽を積極的におこない、生徒の語学力向上を目指していくことを再確認できた交流会となった。
交流校として参加してくれた南京外国語学校の韦先生をはじめ生徒の皆さん、日中オンライン交流を企画し、本校生徒に貴重な体験をさせて下さった日中交流センターの方々には感謝している。
趣味や夢などの話題を中心に十分な交流を行った。日本の高校生の趣味を直接目の前で紹介してもらうことができたほか、自分と同じ趣味を持っている友人も見つかり、とても嬉しかった。今回は話題が豊富で、高校生の生活を肌で感じられる内容だったので、とても充実したおもしろい交流になった。このような交流の機会はとても貴重で、得られたものも大きかった。
自分の夢に関する話し合いやその後の雑談では、日本で最も人気のある職業について知った。みんな自分の性格や趣味に合った夢を持っていた。また、お互いに興味のある話題についても話し合った。
参加生徒の感想
同世代との交流
- 初めて中国の学生と交流してみて、中国の学生の日本語の上手さや日本への興味の強さに驚いたり、いろんな発見があった。
- 同い年の日本人と初めて面と向かって交流した。
- 日本や沖縄に対する理解が深まっただけでなく、多くの同年代の日本人学生とも知り合い、とてもうれしかった。
交流を通して感じたこと・学んだこと
- 学んだことは中国の友達の夢とアニメの事。私もアニメが好きで毎日見ているので話がはずんだし、日本のアニメはやっぱりすごい(世界で通用するんだ)と感じた。
- 中国の方が日本にたくさん興味を持ってくれていることを知って、日本の魅力に気づけたし、自分はあまり中国のことについて知らなかったのでもっと世界に目を向けていきたいと思った。
- 国が違っても皆同じ人間なんだなと考えた。例えば思想や政治の形が違っても、恋の話をしたり好きなアニメなどの話ができた。最初は距離感や言語の壁を感じたが、交流しているうちにしだいにオープンになれて最後は連絡を交換することもできた。
- 沖縄の風土や文化を知っただけでなく、日本の高校生の学校生活や社会生活における経験談も聞けて、日本文化の魅力をより身近に感じることができた。
- 海に囲まれた沖縄が日本の他の地域と異なる文化を有することを知り、日本文化の多様さについて理解が深まった。
- 寿司やラーメン以外にも、日本にはたくさんの名物グルメがあった。
- 様々なテーマを通じて、お互いの距離がぐっと縮まった。誰かが書いた文章を読むのではなく、現地の人から本当の日本を紹介してもらうことで、日本に対するイメージがさらに豊かになった。
- 中国と日本の学生では問題対応のやり方や視点に違いがあることが分かった。
- 普段の私たちはPowerPoint資料で自分の考えを共有したり、スピーチをしたりすることに慣れているが、日本の高校生は交流中に紙資料を使用していました。紙資料はオンライン交流において大きなメリットがあったので、次回は私も見習いたい。
フードロスについて
- 中国の学校の、食堂で残さなかったらカードがもらえて、十枚集めたら一回の定食が無料というシステムはとても良いと思った。また、中国の文化の特徴である大皿での食事の提供をなくそうとしていることを聞いて、中国では文化も変えるくらい食品ロスについて深刻に考えているのだと思った。このような交流を通して世界共通の課題を違う国に住んでいる人達が話すのはとても大事なことなので、もっと交流の場がたくさんできたら良いと思った。
- 中国全体で実行されているフードロスをなくすための取り組みだけでなく、南京外国語学校で実際に実行されている取り組みについて知ることができ、私たちの生活などでも活かせそうなものがあったので、自分自身で少しそれを実行していきたいと思った。
- フードロスは両国の大きな問題として見られていることを知り、やはり高校生が動いていくべきだと感じた。
- 食品ロスの対策について話し合っている時、相手の学生が紹介してくれた「予約制度」が一番印象に残った。予約した数量のみを生産することで、単に浪費を制限するのではなく、適度な消費を呼びかければ、確かにより根本的な問題解決につながる。中国の飲食・食品業界もこれを参考にすべきだと思う。
日本語/中国語での交流
- 中国の高校生の日本語の能力がとても高いと思った。授業の取り組み方や生徒の授業に対する姿勢が日本と違うのだなと感じた。1度中国の学校の授業風景を見てみたいと思った。中国の高校生は日本の和歌や歴史に興味を持ち、それらを日本語で読んでいるとわかり、私は中国語だけを勉強したくてしているから、そこで語学力の差がついているのかと思った。中国の高校生は日本語をとても流暢に話せていたので、私も中国語で会話できるようになって、中国の高校生と中国語で話せるようになりたいと思った。
- 中国語の発音は難しく、それをカバーするには字を見せたりボディーランゲージがとても重要だと感じた。また、日本語も教科書にのっているような言葉をえらび、伝わらなかったら言い換えをしてみると伝わった。
- 南京の人達に沖縄のお土産を聞かれ、答えを頑張って中国語で返したり、南京のお土産の事を聞けたことはとても良かった。この経験をずっと忘れないで、大学や大人になって社会に出たときにしっかり運用していきたい。
- 私の中国語の発音はまだまだだが、発音を気にしないでもっと発言した方がいいと思った。中国の生徒は堂々と日本語を話していたので、私も彼らをまねて堂々と喋りたい。
交流に関する課題と提案
- もっと続けたかったので、自分達でアカウントを交換して自主的に続けていきたい。
- 少人数のグループでの交流が話しやすくて良いと思う。
- お互いに交流のテーマを決める時は、ネット用語や手相など若者が好きなテーマにし、話し合う順序についても、それぞれの国に関する話題と若者が好きな話題を交互に入れ替えるほうがよいと思う。
- オンラインのビデオ会議だけでなく、メールなどによる交流もしてみたい。オンライン交流は活動の間隔が長いので、次に交流する時には前回会った学生の名前や情報などを忘れてしまう。また、ちょうど話が盛り上がった時に終了になり、話を続けられなかったことが何回かあったことも残念だった。
今後に向けて
- 中国の学校について知れたことはとても有意義だったと思う。授業の内容や学校の設備、行事、制服など日本と違うところがたくさんあった。それを留学などで実際に体験してみたいと思った。
- 彼らの故郷である沖縄に関する紹介を聞いて、頭の中に沖縄の風景が広がっていくのを感じた。これはネット上の観光サイトや百科事典を見るだけではできない体験だと思う。新型コロナが収束し、沖縄に行く機会があれば、ぜひ実際の風景も見てみたい。
- 学校制度や生活習慣などにおける中国との違いを含め、日本の高校生の日常生活や生活環境を深く理解し、実際にこの身で日本を体験したいという思いが強くなった。
先生より
いまだコロナ禍で活動も制限される中、オンラインを利用すれば国際交流もさせる事ができるのだということを、今回の活動で実感できた。両校の生徒も回を追う毎にスムーズに交流が進んでいき、実施回数4回の交流ではあったが、生徒は勿論のこと、私にとっても気づきの多い交流となった。
約半年の交流の中で、生徒に「間違いや失敗を恐れずに挑戦することの大切さ」を実感させられたこと、異なる文化を背景に持つ同世代と関わることで、それぞれの世界観や視野を広げさせることができたことが成果だったと思う。
言語能力の面では、日本の学生とのオンライン交流を通じて本場の日本語に触れ、日本語の表現能力が鍛えられた。文化・知識の面については、日本の社会・教育、沖縄現地の文化、日本の高校生の生活などを広く深く知ることができた。また、新しい日本の友人と知り合い、日本の学生の熱意と友情を感じたことで、貴重な友好関係が育くまれたほか、日本語学習に対する興味や意欲も高まった。
新型コロナの影響により、本校と日本の学校との多くの交流活動が中止を余儀なくされるなか、友好校の日本の学生は中国に来ることが叶わず、本校の学生も実際に日本に行って日本の高校生の生活を感じることができない状態である。このような状況において、中日両国の高校生がオンラインのビデオ会議を通じて交流できたことは、国際交流の不足をある程度補うことにつながっただけでなく、学生たちにとっても十分に貴重な学習の機会になったのではないかと思う。そして、この機会を存分に生かした本校の学生は、毎回事前にきちんと話題を準備し、交流の際も積極性を見せるなど、南京外国語学校の学生の熱意と友情、優れた異文化コミュニケーション能力、さらにはあらゆる面での成長の可能性を示してくれた。今回の活動において、学生たちが感じたこと、得られたことは決して少なくない。
今後に向けて
計画書を作成する段階では、zoomで交流させるとことを想像できているつもりだったが、初めてホストとして使用するzoomに手こずり、サポートをしてくれた教師にも負担をかけてしまった。また、ファシリテーターとしての役割は今回ほとんど果たせなかったこと等、課題が多く見つかった。まだコロナ禍は続くと思うが、工夫をしながら国際交流も活用し、生徒の学びの幅を広げていきたいと思う。
今後もこのような機会を増やすとともに、豊富なテーマと多種多様な内容を準備することで、より多くの学生に参加してもらえるとうれしいです。