- 心連心トップページ
- 日中高校生交流
- 日中高校生対話・協働プログラム
- Global Link 2020(三重高等学校・洛陽外国語学校/北京外国語大学附属外国語学校)
Global Link 2020
使用言語日本語
実施形態Zoomにて計5回(洛陽4回/北京1回)
- 三重高等学校
- 洛陽外国語学校
北京外国語大学附属外国語学校
17名(教員1名/生徒16名)
洛陽:18名(教員2名/生徒16名)
北京:13名(教員1名/生徒12名)
-
第1回自己紹介(中国側:洛陽外国語学校)
技術的な不安や、交流の具体的なイメージが違うことが予想されましたので試行と位置づけた交流だった。画面が映らなかったり、音声が不安定で、お互いに技術的に改善すべき点が多くあった。
中日双方の学生による初めての交流活動として、学生の自信、学生の積極性の2点が特に気になった。
まず自信について、自己紹介の時間が始まって間もなく、初対面の人と慣れない日本語で交流しているためか、学生たちはとても緊張した様子で、考えを上手く整理できない場面もあるなど、普段の学習内容を活かした十分な自己紹介ができなかった。特に普段から基礎がしっかりしている学生でも、うまく言葉が出てこないようだった。
次に積極性について、自己紹介が進むと、本校の学生は日本の学生との交流やふれあいの中で徐々にリラックスし、学習内容を活かした積極的な交流ができるようになった。もちろん交流がスムーズにいかない場面もあったが、双方から強い積極性と熱意が感じられた。
以上の2点から、日本語学習では、教科書の内容を単に丸暗記するだけではなく、自信と積極性を持つことも必要なのだと感じた。日本の学生との積極的なふれあいを通じて、日本語学習のおもしろさを発見し、学習に対する意欲を高め、教科書で学んだ知識を活かすことは、学生の学習促進に大きな効果がある。教師としては、学生がリラックスして積極的に日本語を勉強できるように指導し、日本語の成績向上をサポートしたい。
-
第2回高校生活(中国側:洛陽外国語学校)
再度自己紹介を行い、授業や試験を話題にして、毎日の生活を伝え合った。
今回の交流活動では、本校の学生のコミュニケーション能力や表現力の向上、さらには活動前の準備が深く印象に残った。
1回目のやや不慣れな交流・ふれあいを経て、本校の学生は普段の学習で会話能力を特に重視するようになったほか、日本の学生との交流の中で、いくつか日本語表現を学ぶこともできた。また、「高校生活」というお互いに親しみやすいテーマの下、本校の学生は滞りなく準備を進め、教科書で学んだ内容を活かしつつ、簡単ながらもスムーズな交流を行うことができた。
一定の言語環境を整えることは、学生の学習意欲の向上や正しい日本語の習得に対して確かな効果があると思う。
-
第3回自己紹介・高校生活・将来の夢(中国側:北京外国語大学附属外国語学校)
初めての交流でしたので、自己紹介から交流を始めた。その折に各自の将来の夢や得意教科などを伝えた。
日本側の先生と学生はとても熱意があり、親切に名札まで準備してくれていた。本校の学生の多くは日本語レベルが不十分だったからか、やや大人しくなってしまった。
-
第4回日本の新年について(中国側:洛陽外国語学校)
年末年始の過ごし方、習慣や行事などを伝えあったほか、学校の施設や学習内容について話し合った。
今回の交流活動では、普段の学習の積み重ねが学生の日常的なコミュニケーションの基礎につながっていることを感じた。
本校の学生がリラックスし、積極性を持てるようになったとはいえ、特定の話題や内容に固執することなく、日本の学生と深くスムーズにコミュニケーションを取り、さらにそこから日本語学習に関する多くのヒントを学び取ることができるのは、やはり日本語の基礎がしっかりした学生であることが交流の中で分かった。
-
第5回中国の新年について(中国側:洛陽外国語学校)
春節とは何か、どのように過ごすかについて、また大学入試の制度について伝え合った。
今回の交流活動では、学習態度が学生の日本語学習に及ぼす影響を強く感じた。
学生の基礎学力はそれぞれ異なりますが、今回の活動では興味のあることを学ぶことで、日常会話の復習や単語の強化につながった学生が多く見られた。また、基礎学力がやや弱い学生の多くも、活動を通じて日本語の基本的な単語と文法をしっかりと学び、会話やコミュニケーションの面で大きな進歩があった。
教師としては、日本語を学ぶ人にとって日々の努力は必要不可欠だと考えており、授業においても学生の興味を引き出し、それを継続する力につなげることで、長期的な成長を促していかなければならないと考えた。
参加生徒の感想
同世代との交流
- 海外の同年代の子と初めて話す機会ができた。
- 同じ世代の子たちとの会話を心から楽しみながら中国の文化や考え方に触れることができ、とてもよい経験になった。
- この交流が始まる前までは中国の子たちだ!何を話そう、どういうことを聞けば良いのだろうと悩んでいた。しかし話してみるとあちらの子も日本の高校生とあまり変わらない感覚で話せてすごくうれしかったし、国が違うからという理由でかまえなくて良いのだということを学んだ。
- 自分たちと同じくらいの年代の人はたとえ産まれた国、育った国が違っても同じようなことを日々考えて過ごしているということが分かった。
- 笑いのツボが同じだったり、同じ悩みを持っていたりして、住んでいる国は違ってもやはり同じ高校生なんだなぁと実感し、少し嬉しかった。
- 日本の若い学生と対面で交流する機会が得られた。また、日本人に中国の文化も紹介できた。(洛陽)
- 今回の活動で初めて日本人と交流し、日本に対して新たな認識を持つとともに、日本語も上達した。(洛陽)
- 将来に対して明確な目標を持っている日本の皆さんを見て、私も生活の中で興味のあることを探しながら、将来の目標や計画について考えたいと思った。(北京)
日本語での交流
- 時々、自分ではゆっくり分かりやすく話しているつもりなのに、うまく伝わらないことがあった。私が日常生活で何気なく話している日本語は、何の引っ掛かりもなく理解できる相手だからこそ、多少分かりづらくても伝わっているのだと実感した。このプログラムを通して少しは分かりやすく正しい表現、聞き取りやすい話し方が身についたと思う。
- 日本の文化や慣用表現を直接知ることができた。(洛陽)
- 今回の交流活動を通じて会話が上達し、日本語で話し、日本語で自分の考えを言う勇気が持てるようになった。今後の勉強にも大きく役立つと思う。(洛陽)
- 多くの日本語学習法を知り、日本語能力が鍛えられ、視野も広がった。(洛陽)
お互いについて学んだこと
- 日本と中国との文化の相違点だけではなく、中国の中での土地や気候・食生活の違いも知ることができ、改めて中国文化のおもしろさ、奥深さを確認することができた。
- 中国では全生徒が寮生活を送っており、1日の大半を勉強していること。それを聞いたとき、僕はこのままではだめだと判断して、家に帰ってからも読書、英語の文法、数学などを少しずつするようにしてきた。
- 日本の文化を相手が自分より多く知っていたので、自分も体験したり、知るべきだと思った。
- 中国の子達が私が想像していたより日本についてくわしく知っていておどろいたし、それだけ知ってくれてうれしかった。
- 普段の学校生活や日常生活では関わることのできない人と会話することができ、「日本」という狭い枠組に縛られることのないような広い視点で物事を考えることができるようになった。
- 日本の高校生の生活に対する理解が深まり、日本という国への憧れが強くなった。(洛陽)
- ネット上の情報を見るよりも、日本文化に対する興味が大きく掻き立てられた。(洛陽)
- 日本のアニメを観るのが好きだが、今回の交流を通して日本のアニメ文化に対する理解も深まった。(洛陽)
- 日本人が人や物事に接する時のマナーと風習・文化について知ることができた。(洛陽)
- 日本の観光・風情・知識・文化、日本の高校のカリキュラム・大学入試制度、日本のアニメ文化・芸能人について知ることができた。(洛陽)
- 日本の高校生と初めてリアルタイムに交流し、日本の高校生の学校生活を本当の意味で知ることができた。(北京)
- 日本に対する理解や興味が深まった。日本の高校の部活について知り、興味が湧いた。(北京)
- 日本の高校生活は多種多様で、中国とは異なり、学生の興味を引き出すことに重点を置いていることを知った。また、日本の高校2年生は、将来に対してより明確な目標を持っていた。(北京)
今後の交流に向けて
- 今回のようにグループでの会話は賑やかで楽しい。一方で一対一の交流であればより話しやすい環境でまた会話の内容も濃くなると思った。
- PCの不具合等が少々目立ったと感じた。両校のPCの具合を見るために運用テスト日等の事前の調整のようなものがあれば当日大幅に遅れることもないのではないかと思う。
- お互いの文化にもっと触れれるようなプログラムを事前に用意していたりするともっと楽しく学べたように思う。日本人である私たちも中国語を少し勉強して自己紹介をしてみたらもっと楽しかったと思う。
- 中国に限らず他国ともこのような交流会をすれば、先入観であったり考え方であったりを理解し合えるのではと考えた。
- 中国の高校生は親しみやすく、コロナが終わったら中国に行きたいと思った。
- もし可能なら、中国の子たちと今後も連絡をとり続けていつか実際に会いに行きたい。
- 今回の交流活動は、設備などに問題があったため、あまりスムーズに行かず、活動にも影響があった。今後の活動では、1対1のビデオ交流も追加してほしい。(洛陽)
- 活動が終了した後も、SNSを利用して深い交流を続けたい。(洛陽)
- もっと積極的かつ活発に発言するなど、こちら側の雰囲気を盛り上げたいと思った。今後も日中高校生のオンライン交流活動をたくさん開催してほしい。(北京)
- 日本に行って直接現地の生活を体験してみたいと思った。(洛陽)
- 日本の教師と学生の間のおもしろいエピソードや日本の高校生の間で流行っていることについてもっと知りたい。また、実際に高校生の部活を見てみたい。(北京)
先生より
相手国が中国ということで参加者募集の段階では抵抗を感じながら説明会に参加した者もいたが、実際に交流してみると、洛陽外国語学校、北京外国語大学附属外国語学校の生徒たちは日本のことをよく知っており、自分たちと似た感覚を持ち、また、学習内容など共通のことが多いことに驚いたようであった。国家体制が大きく違うので、どんなに意外な意見が出るだろうと思っていた生徒にとっては衝撃ですらあった。若者の感性や生活は思っていたほど違わず、共通点の方が多いことを実感できたのは収穫であった。
【洛陽外国語学校】
今回の活動を通じて、学生たちはリラックスして積極的に学ぶ姿勢が日本語の学習や交流に役立つこと、そして日本に関する基本知識の継続的な蓄積が会話の基礎となり、スムーズな交流につながることが分かったようである。
今回の活動は、学生にとって日本語学習に対する意欲の向上や、日本語の基礎の重要性を深く理解することにつながった。また、教師としても、指導の中で適切な言語環境を整えることが、学生の積極的な日本語学習に役立つことに気付かされた。
交流活動の期間中、本校の教師と学生は学習や交流に積極的に取り組むとともに、毎回の活動から着実に学びを得て、成長に繋げる等、多くの成果が得られた。ただ、現在の学生の日本語レベルにまだまだ向上の余地があることも分かったので、教師と学生が一体となって努力をする必要がありそうだ。
【北京外国語大学附属外国語学校】
日本の高校生の日常生活について知ることができた。学生たちは自身の日本語能力不足を感じたのか、がんばって日本語を勉強したいと言っていた。オンライン交流とはいえ、学生たちは熱意にあふれていた。本校の日本語学生に交流の場を与えてくださった主催者に感謝している。
今後に向けて
メディアを通して海外の情報に触れることができるが、中国の若者たちの生活の様子が伝えられるとはほとんどない。彼らの現実を知ることができたことは大きな収穫であった。生徒からはもっと交流の機会を多く持ちたい、もっと交流時間を延長してほしいとの声があったことは交流を繰り返す中で、関心がより深くなったことを示していると思う。
北京外国語大学付属外国語学校とはグループに分かれて少人数での交流ができなかったこと、回数が少なかったことが残念だった。
今回は若者の意識や生活に共通点が多いことを発見したに留まったが、今後は自分たちが感じている課題や悩みを話し合えるように指導したい。オンラインでの交流は顔が見えるのでコミュニケーションツールとしては有効であるが、親近感を持たせるには至らない。実際に会う機会があれば、話題により深く踏み込めると思う。
【洛陽外国語学校】
交流活動を通じて中日双方がふれあうことで、お互いの学校や国の文化について一定の理解が得られ、今後の学生交流の基盤となった。コロナ禍の中、同様の活動をもっとたくさん開催し、より多くの学生が活動に参加できるようにしてほしい。
【北京外国語大学附属外国語学校】
普段日本語を話す機会があまりないため、学生の多くはオドオドとした様子で、日本語で表現する勇気が持てないようだった。この点については、自身の日本語教育を反省しなければならないと思った。
日本の学校とオフラインで交流し、学生に異なる国の高校生活を実際に体験させることができれば、異文化コミュニケーションの魅力を肌で感じてもらえると思う。