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『こころ』には救いの道がある

済南ふれあいの場 丁旭 さん

 心とは何だろう。心は働きであるため、もちろん形はない。粘土のようなもので、私達は自由にその形を変えることができる。しかし、他人から嫌われ、のけ者にされるような心を持ったのでは一生の不幸だ。

 百年前、夏目漱石は自分が書いた『こころ』の中で人間の心を探求した。夏目の『こころ』は「先生」という利己主義に支配されていた男を描いた。彼は友人のKさんを間接的に殺した。「先生」も自責の念にかられ、最後に自殺してしまった。小説を読み終えて、ある疑問が浮かび上がった。私達がどういう心を持つかは重大な問題である。

 よく「人はみな利己的だ」の言葉を耳にする。人の心の奥底には、欲や利己心、怒りなど様々な性質を隠し持っている。しかし、このような性質を表に出さずにいることが社会の安定と発展のベースともなっているといえる。

 夏目が生きていた明治時代は日本社会の転換期であり、日本人は先進国への期待感を持ち始めたと同時に、不安がつきまとっていた時代でもあった。つまり、古いものはそのままに、新しいものは未来にある。複雑で変化しやすい社会環境は人々の心の中にある様々な性質を露呈させた。

 「小さな事を成せぬ者は、大きな事も成せぬ」。

 小さなふれ合いがなくては大きな国際交流は成し遂げられない。古今東西が交錯する時代の中で、私たち青年はチャレンジと責任と共に、チャンスと無限の可能性も与えられた。従って、私達は人間の心のもつこのような矛盾、不合理をよく理解し、その矛盾や不合理を乗り越え、真っ直ぐな心、思いやりのある心、理知的な心を持つようにしなくてはならない。身の周りの些細なことから、他愛のないふれ合いから、国の未来がより良くなるよう、進む道を探そう。 

(夏目漱石『こころ』岩波書店)

 

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