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参加者インタビュー

Interviewインタビュー 日中21世紀交流事業に参加された方々に交流を振り返っていただきました

ホストファミリーとの別れと出会い

第5話の主人公は、愛知県岡崎市にある光が丘女子高等学校に通う周潔如さん。順調に学校生活を送っている周さんですが、ホストファミリーは実は4軒目。現在どのような生活を送っているのか取材しました。

4軒目のホストファミリー

バレンタインに向けてせっせとお菓子作り

愛知県にある光が丘女子高等学校に通う周さんは、ニコニコと笑みを絶やさない、キュートな印象の女の子だ。日本のアイドルやドラマが好きだったり、家庭科部でお菓子を作ったりしている姿は、日本の女子高校生となんら変わらない。

留学生担当の谷口先生によると、

「留学生も特別扱いしないので、様々な規則をちゃんと守って学校生活を送るのは大変な面もあるかもしれません。でも周さんは、何も問題なく適応できているので、馴染むために努力されてるんだなと思います」

と話を聞かせてくれた。クラスでも担任の先生に見守られながら、徐々に皆に受け入れられていったようだ。バレンタインには、周さんが用意していたよりも多くの友チョコを受け取り、あわててその週末作り足したとか。本人が思っている以上に、周りが友人として受け止めている証拠だろう。

現在周さんは、同じクラスの生徒の家庭にホームステイしていて、9月の来日からその家庭でステイ先は4軒目になる。日本の住宅事情を考えると、留学生に個室を提供できる家庭がそれほど多くないことや、その他にも1年間受け入れるとなると、様々な負担が発生することも考えられ、長期でホームステイを引き受けてくれる家庭を探すのは本当に困難になっている。1~3ヶ月の単位で引き受けてくれる家庭なら、比較的見つかりやすいそうなのだが。

美結さんのご祖父母が、周さんに会いたいと遊びに来てくれた際のひとコマ。

ステイ先があるのとないのとでは大きく違う

一時寮生活を送っていた周さんのために、担任の先生が、ステイ先を提供できる家庭があれば周さんを受け入れてほしいとクラスメートに冬休み前に話した。そこで2人のクラスメートが手を挙げ、一人の家庭に冬休みの期間滞在し、もう一人の家庭には冬休み後から滞在することになった。冬休みから周さんにステイ先を提供することになった、クラスメートの松木美結さんはこう話す。

「最初お母さんは、仕事があるしずっと家にはいられないから、ちょっと現実的には無理かなって言ってたんです。でも周ちゃんとは隣の席で、いっしょに教科書を見たり、あと部活も一緒だったし、やっぱり周ちゃんはいい子だからって話しました。お母さんが毎日家にいるわけじゃないけど、ホームステイ先があるのとないのとでは大きく違うと思うって言ってお願いしました」

松木さん自身は、マレーシアに留学した経験がある。8日間のうち、ホームステイをしていたのはそのうち3日。帰ってきて話し相手がいたり、朝起きた時に一緒にご飯を食べる相手がいたりする点で、安心感や孤独感が全く違うと話してくれた。

冬休み期間のステイ先を提供した生徒も、アメリカに留学経験があった。つらいことがあれば言葉がつたなくても聞いてほしいと思う、と話し、今ではクラス内での周さんの良き友人だ。

天真爛漫な性格の周さん。あっという間に松木家になじんだそう

「日本でいい歌は、中国でもいい歌だよ」

彼女達が共感し、ステイ先を提供したいと考え親に訴えた時、ご両親はどう考えたのだろうか?松木さんのお母さんはこう話してくれた。

「娘がマレーシアにホームステイした際に、その家のお嬢さんをお預かりしたことがあったので、ホストファミリーとしての経験は一つありました。それに私が今の娘と同じ歳に、アメリカに留学してホームステイしていたんです。その時の記憶は、今も鮮明に思い出せるほど、私の中で残っていて。なので、周ちゃんももしそれがいい思い出であるなら、きっと一生残るだろう、と考えそのお手伝いができればと思い、主人と相談して決めました」

その松木さんのご主人は、周さんのホームステイの話が出る前に、一度周さんと会っていて彼女にこんな印象をもっていたらしい。

「早朝、部活の集まりに向かうため、主人が車で娘と周ちゃんを乗せて送っていったことがあったんです。たまたま車の中でかけていた主人の思い出の曲を、主人が日本語で口ずさんでいたら、周ちゃんが中国語で口ずさんだんです。それで主人が『この曲知ってるの?』と聞いたら、周ちゃんが『日本でいい歌は中国でもいい歌だから知ってるよ』と答えたそうです。その話をあとで主人から聞いて、『ああ、同じ時代を生きてるんだな。日本でも中国でも色々な問題や考え方があるけど、私たち個人としては関係ないね』、と2人で話し合ったことがあって」

後日、周さんをホームステイに迎える話が出た際にはご主人も、「あの子はいい子だよ」と快く賛成してくれたそう。

これまで学校内では同じ留学生の友達といる時間が多かったそうだが、徐々にクラスメートと過ごす時間が増えてきた

毎日がすごく楽しい

松木さんの家には、3人のお子さんがいる。前述の高校生の美結さんのほか、中学生と小学生の男の子達だ。周さんと美結さんは、ショッピングに一緒に出かけたりお菓子作りを一緒にしたりして過ごし、「まるで兄弟か双子みたい」、と口を揃える。

小学生の弟さんのほうは、周さんに算数の宿題を見てもらったり、トランプで遊んでもらったり。お母さんに叱られると、周さんがとりなしてくれる場面もあるとか。中学生の弟さんは、最近「留学したい」と言い出し、英検のために勉強を始めたそうだ。これも周さんがホームステイに来た事が大いに刺激となり、言い出したことのようだ。

受け入れられる側、受け入れる側、どちらにも事情があり簡単にいかないことも多い。ただ、お互い同時代を生きるもの同士、共感できる部分はきっと見つけられるだろうし、反対に今までの常識や考えを覆すような発見にも出会えるかもしれない。日本にいながらにして、外国を、異文化を体験できるのだから。

最後に周さんに今までの、そして今の生活について聞いてみた。

「最初に2ヶ月でホストファミリーが変わった時は本当に悲しくてさみしかった。でも前のホストファミリーもクリスマスパーティーに呼んでくれたり、交流は続いています。今の松木さんの家は、毎日がとっても楽しい。私も3人兄弟だったらよかったな」

別れもあったが、そのおかげで新しい出会いもあった。今この時間を大切にすることが、生涯心に残るような思い出になることにつながっていくのかもしれない。

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