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参加者インタビュー

Interviewインタビュー 日中21世紀交流事業に参加された方々に交流を振り返っていただきました

Vol.78 大学生交流事業への参加経験者3人による座談会-後編-
「あの時の挑戦が今の自分を作った」

大学生交流事業に参加した経験を持つ3人が集まり、異なる立場から当時の体験を振り返りつつ、交流事業で得られたものや今に役立っていることについて語り合います。

インタビュー前編はこちらから

今でも続いている、国境を超えた交流

――大学生交流事業を通じて知り合った学生たちとは交流が続いていますか?

南:イベントを終えてからは個人的に二度、知り合ったふれあいの場の友だちに会いに行って、現地で一緒に遊んでもらったりしていました。その後、日本に留学で来た人もいたので、その期間はよく食事もしましたね。今は互いに就職して連絡も途絶えがちですが、日本に来る時は連絡をくれますので、時間を合わせて食事に行くこともあります。

陳:私は日本にいるので、たまに日本の友だちと連絡を取り合っています。ちょうど先々週にも一緒に食事をしたところです。その友だちは少し前に、私の故郷の四川に来ているよと現地から連絡をくれたんですよ。「じゃあ帰国したらご飯いこう!」ということになって。そんなふうに何かきっかけがあれば連絡したり会ったりしています。

――社会人になってからも交流が続いているのですね。仁平さんはいかがですか?

仁平:実際に会ったふれあいの場の学生とは今もよく、連絡を取り合っていますね。また、僕が留学している間に、中国国内で会うこともありました。ふつうに友だち付き合いが続いています。

交流イベントで得た貴重なもの

――みなさんが大学生交流事業で得たものについて教えてもらえますか?

南:どんなことも、やってみれば意外にできるものだという自信を持てた気がします。この事業に参加する前は、国際交流や社会貢献に関心はあっても、選ばれた人の活躍する場だと、遠い世界のことだと思っていました。でも、限られたスケジュールの中で、ふれあいの場の学生たちと協力して1つのイベントを作り上げた経験によって、世界が開けた感覚になりました。

誰かと話してみると、知らなかったことを知る機会にもなりますから、人と距離をとるなんてもったいないし、経験や知識がなくても、別に最初からあきらめる必要はなくて、やってみれば意外にできるかも!と思えるようになりました。あの時に得た自信や視野の広がりは、今の仕事に生かされていると思います。

――仁平さんはまだ学生ですが、何か得るものはありましたか?

仁平:交流事業で中国語をさらに学びたいという気持ちが強まったのは確かです。その後、中国語の試験を受験したり、スピーチコンテストにも出場しました。さらに他の日中交流プログラムに参加したほか、中国留学をすることにもなりました。中国語を通して世界が広がってきましたね。

陳:実は、私の故郷は2008年の四川大震災で被災しました。私が小学校6年生の時です。学校は倒壊してしまい、中学時代は仮設校舎で授業を受けていましたので、部活もできませんでした。高校になると中国では勉強がものすごく大変なので、他に何もできません。ですから、多くの人と一つのゴールに向かって力を合わせて、何かを成し遂げた経験は、このイベントが初めてでした。そういう意味で、貴重な経験でした。

また、日本の学生たちと行動を共にした経験が、日本の大学院に進み、日本企業に就職することにも繋がりました。もう一つ、自国の文化を見直す機会にもなりましたね。というのも、日本の学生が日本の文化を一生懸命紹介してくれたのに、私は中国のことをうまく紹介できなかったのです。それは恥ずかしいことだと感じました。そこで、今の中国を知らない人にリアルな中国を伝えられるよう、中国ガイドの資格試験を受けたりもしました。

あの経験が多様化する職場で生きている

――最後に、大学生交流事業に関心を持つ学生の方々にメッセージをお願いします。

南:今、日本の職場は海外の方の割合が増えていて、多様な価値観を持っている人と同じ職場で働くことも増えています。ともすれば、違う価値観を持つ人に距離を感じることもあると思いますが、その人の置かれた状況や背景を知ることで理解や納得できることは多々あります。

また、海外の方に対するイメージが間違っていることも多いのです。私が初めて中国に行った時、抱いていたイメージと全く異なりました。現地に行くことで、世界の見え方も変わります。そんなふうに、その人の背景を知ることが違いを理解する助けになります。

私はこの交流イベントを通じて、国や地域が違っても結局は人対人なんだと気づくことができました。その感覚がわかると、社会に出てどのようなチームに所属しても、対応できるようになると思います。

陳:私も南さんのお話に同感です。社会人になると多様な人と組んで、1つの目標に向かっていくことになります。学生の間に交流イベントの経験をしておくことは、社会に出てから必ず役に立つと思います。

仁平:実は、中国留学中に心に残ったことがあります。ある時、中国の学生にこんなふうに言われました。「日本に対してあまり良いイメージはなかったけど、君と出会ってイメージがよくなったよ」。その言葉を聞いた時、僕は感動しました。これが日中交流の活動に参加してきたことの意義だと感じたからです。これまでの経験を今後どのように生かせるかはわかりませんが、自分に合った道をこれから選びたいと思っています。

【取材を終えて】
今回の座談会では、大学生交流事業に参加した経験を持つ3人に集まっていただき、三者三様の立場からお話をうかがいました。3人とも事業への参加をきっかけに互いの国への理解と関心を深めていっただけでなく、最初に抱いていた言葉の壁や心理的な不安は取り払われていった様子がうかがえました。また協働で作業して一つのイベントを作り上げた経験が自信となり、一回りも二回りも成長した様子がうかがえました。


取材・文:大島 七々三 取材日:2025年2月11日

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