Interviewインタビュー 日中21世紀交流事業に参加された方々に交流を振り返っていただきました
Vol.79 「ふれあいの場」代表学生インタビュー-前編-

国際交流基金では、日本の最新情報や日本人と接する機会が少ない中国の地方都市において、青少年層を主な対象に対日理解と交流を促進する「ふれあいの場」を開設しています。「ふれあいの場」では、日本の最新情報(雑誌、書籍、映像資料等)に触れる機会を提供し、さまざまな日中交流イベントが行われています。
2025年2月、「ふれあいの場」の学生を日本へ招へいする「学生代表訪日研修」を行いました。中国各地のふれあいの場を代表する10名の学生に日本、日中交流、そして「ふれあいの場」への思いを語ってもらいました。その様子を「前編」「後編」に分けてご紹介します。
初めての日本の印象
――皆さんは今回初めて日本に来られたそうですね。来日して一番印象に残っていることを教えてください。
陳昕瑶さん(フフホト): 今回日本を初めて訪れて、浅草寺の美しさに感動しました。
李瑶さん(アモイ): 日本は街が清潔で、人が礼儀正しいというのが第一印象です。そして、ラーメンがおいしいですね!
龐櫻さん(桂林): 日本人は誰にもとても親切ですね。そして、日本のトイレはとってもきれい!
崔伊藍さん(広州): 日本で一番印象的なのは、街がきれいなことです。
李学峰さん(延辺): ちょっと面倒くさかったのは、ゴミの分類です。ゴミ箱を探すのが大変で……でも街がきれいだからいいと思います!
季暁琳さん(済南): ゴミ箱が見つからなくて、今、私のカバンの中はゴミだらけです(笑)。あと昨日電車に乗ったとき、私の隣の席が空いていたのですが、ある男の子が座ったとき、私に「すみません、ありがとうございます」と言いました。やっぱり日本人は礼儀正しいと思いました。
王彦凱さん(杭州): 電車の中で声が何も聞こえずとても静かで、それが印象に残りました。
姚逸亭さん(ハルビン): 中国と違って、スマホでなく本を読んでいる人が多いのにも感心しました。あと日本に来て印象深いのは、人が親切なことです。羽田空港に着いて、迷子になったり忘れ物をしたりしましたが、空港のスタッフに尋ねるととても親切に助けてくれました。
金文杰さん(昆明): 日本の学生たちは中国と違って“青春を謳歌してる!”という感じがしますね。中国では高校時代、大体夜の23時まで教室で勉強していますが日本の高校生は15時半過ぎには街に出かけると聞きました。
公保吉さん(西寧): 日本語の学習を通して、驚きと喜びを感じています。

日本との出合い
――日本に来てまだ2日目なのに、すでにいろいろな経験をされているのですね。皆さんがそもそも日本語を勉強するようになったきっかけは何だったのでしょう。日本に興味を持ったきっかけなどを教えてください。
李瑶さん(アモイ): 私は大学に入って初めて日本語の勉強を始めました。きっかけは日本語のアニメや漫画が面白いと思ったからで、特に『クレヨンしんちゃん』が好きでしたね。それと日本の建物やファッションも好きで、将来は日本に留学したいと思っています。
姚逸亭さん(ハルビン): 私も日本語の勉強を始めたきっかけはアニメで『ちびまる子ちゃん』です。小学生のころに『ちびまる子ちゃん』を見て、中国とは生活習慣が違うのがとても興味深かったんです。その後、日本の小説を読んだりドラマや娯楽番組を見たりするようになって、日本語の発音がきれいだなと思うようになりました。将来は日本でIT関係を専門的に学びたいです。
公保吉さん(西寧): 初めて日本のアニメに出合ったとき、そのすばらしさと独特なストーリーに驚いて、日本文化に対して強い興味を抱くようになりました。
崔伊藍さん(広州): 日本の文化に興味を持ったきっかけは、小学生の頃に読んだ江戸川乱歩の『人でなしの恋』という小説です。その独特な世界観に惹かれ、日本文化に興味を持つようになりました。大好きな作家は、鶴見俊輔、竹内好、そして丸山眞男です。将来は日本近代思想史を学びたいです。
李学峰さん(延辺): 私も文学が好きで、最近では夏目漱石の『吾輩は猫である』が面白かったです。一番気に入った一節は、最初の「吾輩は猫である。名前はまだない」です。
陳昕瑶さん(フフホト):私は作家の平野啓一郎さんの作品を研究したいです。
龐櫻さん(桂林): 私は高校のとき、『月曜から夜ふかし』というバラエティー番組がとても面白くてストレスを解消してくれました。他にも日本のバラエティー番組を見て、日本の礼儀作法や、自分の好感度を高める方法を学びました(笑)。バラエティー番組の影響で関西弁など方言に興味があり、日本の言語学を学びたいです。
季暁琳さん(済南): 日本に興味を持った理由は2つあります。1つ目は、高校生のときに見た『ロングバケーション』というドラマ。主演の木村拓哉さんがめっちゃかわいいと思い、日本語を勉強したいと思いました。2つ目は、幼い頃から食べ物や飲み物といった日本の商品から日本語を目にする機会が多くあり、興味をもちました。将来は日本語の通訳者になりたいと思っています。
王彦凱さん(杭州): 私は国としての日本に興味があります。戦後の経済発展の背景には日本の人々がいたわけですが、経済、歴史、政治などに興味があって研究を深めたいと思っています。
金文杰さん(昆明): 私は姉のアドバイスで日本語を専攻しました。今は将来の仕事として日本語教師に興味があります。
インタビュー後編に続く
取材・文:鈴木 香織 取材日:2025年2月6日