Voice ~参加者の声~ 樊 雪妮さん
中国長春、ハルビン、延辺「日本企業文化紹介セミナー」に参加して
名前
樊 雪妮(はん せつに) さん
プロフィール
1994年中国湖北省武漢市生まれ。
高校2年生の時、日中交流センターの「心連心:中国高校生長期招へい事業」第四期生として1年間、岩手県盛岡中央高等学校に留学。
早稲田大学の商学部にて金融(コーポレートファイナンス)を専攻し、課外では、「日中学生会議」、「京論壇」、「京英会」、「日中学生交流団体 freebird」、「OVAL」などの日中交流団体を束ねる「日中学生交流連盟」の立ち上げメンバーとして日中交流活動に従事。 また、日中の大学生が合宿形式で企業訪問・討論会・交流活動などを行う「リードアジア」プログラムの企画にも参画。
2015年10月、監査法人トーマツ入社。
現在はリスクアドバイザリーに所属し、主に金融機関に対してGRC(ガバナンス・ リスク・コンプライアンス)サービスを提供している。
2016年10月30日~11月5日の1週間、私は国際交流基金の主催で行われた日本企業文化紹介セミナーに講師として参加した。
今回のセミナーは、ふれあいの場が設置されている吉林大学、黒龍江大学、延辺大学の3つの大学で、学生たちに日本の企業文化を理解してもらうことを趣旨としている。私ともう一名、昨年度からご参加された眞鍋忠夫氏が講師である。同氏は東京外国語大学卒業後、1972年に丸紅株式会社に入社、その後、丸紅香港会社社長、丸紅中国総代表、カフコジャパン投資(株)社長等を歴任した。今回眞鍋氏は、「グローバル化社会を生き抜く」をテーマに、グローバル化が進むこの時代に世界で通用する人材の重要性を強調した。
中国の東北地方への訪問は初めての経験であり、中国人の私でも、目新しいことの連続だった。11月の東北三省では雪が降っており、気温がマイナス10度という極寒の気候にもかかわらず、各セミナーとも200名近くの熱心な学生が集まった。
最初のセミナーは吉林大学で行われた。私の講演のテーマは「あなたにとって、仕事とは何か」である。眞鍋氏が「グローバル化社会を生き抜く」をテーマに、日本の会社の全体像及び将来像を紹介する内容であったため、同氏の発表を引用する形で、実際に私自身の事例を説明することで、日本で働く選択肢をより明確化させるというのが目的であった。具体的には、仕事観についての問いかけから始まり、参加者各々に考えてもらった後、私が日本で働くに至るまでの経緯を紹介した。さらに、日本で就職することのメリット・デメリットを示した上で、現在の仕事内容や日中両国の職場文化の違いを詳細に紹介した。
このセミナーでは、日中学生交流連盟と国際交流基金日中交流センターが共催する「リードアジア」プログラム参加経験者の陳暁蕾さんも発表した。彼女は昨年夏に「中国ふれあいの場」の学生代表として、九日間の研修活動に参加し日本を訪問した。大学時代で企画に携わっていた活動なので、このような形で日中に関心を持つ人材が増えていくことに嬉しく感じる、と話していた。
次は黒龍江大学にてセミナーを行った。黒龍江大学では外国語学習に力を入れており、外国人の学生も多く在籍している。日本語の先生だけでなく、外国語学科の主任の先生も英語を介して交流活動について熱心に話をしてくださり、その指導熱心さに感銘を受けた。
現地のふれあいの場のスタッフや先生たちはとても親切で、セミナーに協力してくださった。集まった学生は日本語学科のみならず、経営やITなどを専攻中で日本企業に興味を持つ学生もいて、その質問内容も多岐に渡った。
最後のセミナーは延辺大学で行われた。延辺はロシアと北朝鮮に隣接しており、夜ともなると驚くほどに賑やかな町になる、まさに「不夜城」である。先生も学生も明るくて社交的な方が多く、セミナーにも会場に入りきれないほどの学生が集まった。講演後、日本で働く場合の給料面の話を皮切りに、「外国人としての日本での恋愛事情」などの質問も続き、私からはライフイベントをきちんと考慮して留学することを薦めた。
今回の講演を通じて、私自身改めて日中交流の可能性に気付かされた。意外にも、日本企業がどんどん中国から撤退している中で、日本で就職することに強い関心を持っている中国の学生が多数いることに驚いた。私としては、一人でも多くの中国の学生達が日本に何かしらの関わりを持つためのきっかけになれればと思い、講演後に学生たちと連絡先を交換し、実際に後日、日本の大学院への留学を考えている学生からの相談があった。今後、日中の架け橋となることを期待している。
また、社会人になっても、このような形で日中交流に貢献できたことをとても嬉しく思っている。私にとって、大人数の前でプレゼンテーションを行うことはソフトスキルの向上にもつながり、また自分自身のストーリーを振り返る貴重な経験にもなった。是非とも、他の心連心の卒業生もこのような機会に参加してほしいと考えている。
2017年2月25日 心連心第四期生 樊 雪妮