私たち「PICTS」(東京大学6名)は、2018年9月11日から17日までの七日間、中国広東省広州市の中山大学南キャンパスに所在する広州ふれあいの場において、中山大学日本語科の学生らと協力しながら日本風の「文化祭」を開催しました。日本の大学の文化祭の魅力を知ってもらうべく、コスプレ屋台、伝承遊び体験、浴衣試着、囲碁対決のブースを設置したほか、ステージでは、スピーチコンテスト、ミス&ミスターコンテスト、紅白歌合戦といった企画を行いました。当日は大勢の来場者にお越しいただき、イベントは大成功を収めました。(※9月16日に予定されていたディスカッションイベント「日中大学生フォーラム」は台風22号の影響で中止)
日本といえばアニメ、アニメといえばコスプレ、ということで、コスプレ屋台を出しました。コスプレをした店員が来場者にお食事を提供する、という非日常的な空間を創り出し、来場者に日本のサブカルチャー文化を知ってもらう企画です。コスプレをする店員は、お化粧をして、カラーコンタクトまで装着するなど、かなりの完成度を追求しました。来場者も普段なかなか見ることができないコスプレを見て一緒に写真を撮るなどしており、楽しんでいる様子でした。食品は日本の白玉とそうめんを提供し、こちらも美味しいと人気を博していました。
日本の伝統的衣装である浴衣を着てみたいと思う来場者は多いのではないかと考え、試着用の浴衣を10着ほど用意し、来場者に試着体験をしてもらいました。試着ブースは大賑わいで、浴衣を着た来場者は嬉しそうに会場のあちらこちらで記念撮影をしていました。
日中の伝承遊びを体験できるコーナーを設けました。日本の伝統的な遊びであるけん玉や福笑いの他、中国の華容道など、普段なかなか体験することのできない遊びを来場者に体験してもらいました。小学生などに特に人気で、子供たちがけん玉で楽しく遊ぶ姿が見られました。加えて、うまい棒などの日本の駄菓子も提供し、こちらも好評でした。
PICTSメンバーの中に世界大会で優秀な成績を収めるほどの囲碁棋士がいたため、彼と中国人棋士との間で囲碁対決が行われました。お相手は中山大学囲碁部の皆さんで、午前・午後に各一局ずつ行われました。白熱した高レベルな対局となりましたが、どちらも僅差で日本側の勝利となりました。お互いの言語はわからなくとも、囲碁という共通言語を介して言葉の壁を越えた日中交流ができたのは非常に有意義でした。
ステージ企画の序盤に行われたスピーチコンテストでは、日本語を学習している中国人学生と、中国語を学習している日本人学生が、それぞれ自分が学習している言語を用いて5分程度のスピーチを披露しました。発表者の外国語での情報発信力の向上を目的とした本企画ですが、発表者はみな堂々とスピーチを披露し、来場者からはスピーチ内容も面白かったという声もいただくことができました。
日本の文化祭の目玉であるミス&ミスターコンテストを中国で開催すべく、日中の学生に候補者として登壇してもらいました。候補者には、自己紹介、伝統芸能などの特技披露、ファッションショー、寸劇(告白のシチュエーション)を行ってもらい、最終的には来場者の投票でミス&ミスターが決められました。特技披露では、歌やダンスの他にも、琵琶・剣道・囲碁など、両国の伝統的な文化が紹介されたほか、ファッションショーや寸劇では、各候補者が、浴衣・漢服・日本の高校の制服など、特徴的な装いで登壇しました。中国では珍しい企画ということもあって、来場者からは好評で、ステージ企画の目玉として大いに盛り上がりました。
カラオケ文化が日本と同様に盛んな中国で紅白歌合戦を再現したら盛り上がるに違いない!ということで、ステージ企画の最後に紅白歌合戦を行いました。日中の学生が紅組・白組に分かれ、古い曲から流行歌まで、日中の曲を熱唱しました。さすがカラオケ大国の中国だけあって、中国の学生の歌のうまさには目を見張るものがありましたが、日本の学生も嵐の曲を歌うなど、負けじと頑張りました。結果的には紅組が優勝したものの、白組のメンバーにも最優秀歌唱賞が与えられ、健闘を称えあいました。
台風22号の影響で残念ながら中止となってしまいましたが、予定では、スライドに書かれたトピックに基づくディスカッション、映像を観た上でのディスカッション、日中のドキュメンタリー鑑賞とその感想共有、東大PICTSによる「東大方程式」など、日本語を用いたディスカッションフォーラムを文化祭翌日に行うことになっていました。トピックの考案、スライドの作成、映像の編集、「東大方程式」の台本作成など、準備にも余念がなく、前日には文化祭直後にリハーサルも行っていただけに、中止は非常に残念でしたが、帰国後にPICTSのメンバーで「東大方程式」の収録を行って、その動画をカウンターパートに共有したり、今後の日中間でのオンラインディスカッションを検討しているなど、イベント外での交流による埋め合わせができているのは非常に良かったと思います。
- リーダー 浅野宏耀東京大学4年生
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言葉の壁には幾度も阻まれましたが、耐えて、純粋な心で伝え合い確かめ合う作業で生まれる絆がありました。見ず知らずの日本人と中国人たちが遠隔で準備を進め、イベントを開催して、成功させることができたのは奇跡的なことでした。確かめ合いってとっても大切なんですね。準備期間は、早め早めに立ち上がり、テクノロジーを用いて効率的に仕事を進めました。中国・日本・アメリカ・カナダ・インドネシア・スリランカ・ベトナムに散っていた東大と中山大のメンバーはオンラインで繋がり、ミーティングや書類作成は順調にこなすことができました。日中の学生は濃厚に関わり合いながら、各メンバーが共同作業の感覚を得られたに違いありません。距離の壁はインターネットによってぶち壊されているのを実感し、ワクワクしました。その点においては、私たちのイベントは広州に行く前からすでに始まっていたと言っても過言ではありません。準備からイベント開催、そして終了後まで、深く中国の学生とつながることができました。結果として、中国の学生たちからは少なからぬ影響を受け、中国の伝統楽器にも興味を持ち、中国の音楽も以前より多く聞くようになりました。中国語も少しは発達させました。イベントが終わって私たちが日本に帰ってから、オンラインで日本語や中国語を教えあったりもしています。本当に実りある経験ができました。
- 副リーダー 戸高純平東京大学4年生
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今回のイベントに、私は大きな期待を持って臨みました。しかし、結果的にその期待を遥かに凌駕するものを得ることができたと感じています。これまで国際交流に関するイベントに数え切れないほど参加して来ましたが、今回のイベントほど、他国の参加者との関係が続いて行くことを確信できるものはありません。それは、何かを共に創り上げたという経験から来るものだとひしひしと感じています。3ヶ月間、オンラインで構想を練り続け、現地では1週間早朝から深夜まで必死で準備しました。この経験は、この先どんなに時間が経っても色褪せない思い出を私たちに残してくれました。そしてその記憶によって繋がれた我々の関係はきっとどこまでも続くものだと思います。また、私個人としても収穫の多い経験だったと思います。大量に虫に刺され、尋常ではない痒みに苦しんだり、イベント直前に風邪で声が出なくなったりと障壁に多くぶつかりながらも、他のメンバーと協力して納得のいくイベントを作ることができたのは大きな自信になりました。そして何より、中国文化に対する純粋な興味が自分の中に生まれて来ていることが嬉しいです。これまでおざなりになっていた中国語学習が、これをきっかけに大きく前進する予兆を感じています。日中交流と一言で言うのは簡単ですが、その裏には配慮を必要とする事柄が山のようにあると、身をもって知ることができたのもいい経験でした。最後になりますが、今回のイベントを実現するためにご尽力くださった関係各位の皆さま、誠にありがとうございました。
- 宮関貴臣東京大学4年生
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一週間という短い期間ながらも中山大学のみんなと協力してイベントを創り上げ、今後一生続いていくであろうかけがえのない友情を育むことができたことが何よりの財産です。イベントを通して日本の魅力を少しでも伝えられたのなら幸いです。これからも日本と中国とのつながりを強めていけるよう、自分ができることを精いっぱいやっていきたいと思います。
- 磯尚太郎東京大学4年生
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一年間の中国での留学生活でも、一つのイベントを現地の学生と作り上げる、というのは体験したことのないことでした。そして今回の活動を通して得られたのは、一年の留学生活で築いたものに負けないカウンターパートのみんなとの友情だったと思います。一週間という時間はみんなと色々なことを語り合い、みんなのことを深く知るには短すぎましたが、帰国以降もずっとみんなとのやり取りは続いていて、そのような結びつきを得られたことが何よりの収穫でした。お互い緊張しながら顔を見たこともない相手とチャットで話し合って準備を始めて以来3ヶ月、素晴らしい思い出ができました。機会を与えてくれた日中交流センターとカウンターパートの皆さん、素敵な東大のメンバーに感謝です。
- 嶋田泰之東京大学4年生
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中国の広州で、中国人と日本人が協力して、日本の文化祭を創り上げるという貴重な経験をする機会に恵まれて非常に有難く思っています。日中で離れていても一緒に作業をして企画を進めていけるという前向きな学びの一方で、文化祭に向けた1週間中山大学内という近い距離で作業していても完璧を目指していくのは難しいとも痛感しました。また日本の何を発信していくべきなのか、日本を代表するとは何なのかを考えさせられたのも大切でした。いずれにしても、良い中国の友人との関係が始まったこと、それが一番の宝物で、私にとっては一番の成果です。
- 木口利公東京大学4年生
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広州での一週間は大学4年間の夏の思い出の中で一番でした。一緒に行ったメンバーはもちろんのこと、中国側の学生は思いやりがあり、とても恵まれた環境の中企画した文化祭は最高でした。当初の想定以上に、大掛かりになり準備は大変でしたが、その分得られる経験や人との繋がりが一生モノでした。ぜひまた広州に戻りたいです。
- リーダー 張金金中山大学4年生
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「銀杏と木綿」をテーマとする今回の中日大学生交流事業は、二日目のディスカッションが台風のためできなくなりましたが、一日目の文化祭は大成功で終わりました。何と言っても、リハーサルしてくれたステージの選手たちと、会場の運営を担当していたみなさんの努力なしでは成り立ちませんでした。わずか一週間ではありましたが素敵な出会いがたくさんありました。そしてなによりも、協力してくださったすべての方に感謝しています。このイベントを通して得た繋がりや学んだことを大切にしていき、中日友好や交流の懸け橋になれるようこれからも精進したいと思います。みなさん本当にありがとうございました。
- リーダー 周琼彬中山大学4年生
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イベントのおかげで、「木綿」と「銀杏」はいい友達になりました。東大生の秀才と学部の後輩たちと知り合って、嬉しかったです。みんなで協力したり、準備したり、体験したりして、たくさんの素晴らしい思い出を創出しました。残念ながら、今回はいろいろミスしたこともありますが、今回の教訓をいかし、これからは二度とミスしないように頑張っていきます。
- 葉楚林中山大学4年生
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今回のイベントを通じて、大変勉強になりました。短い間でしたが、皆と一緒に色々な準備をしたり、遊んだり、素敵な思いを作ることができて嬉しかったです。日本の方と話し合う間に、お互いに文化への理解を深めることになりました。また一緒にイベントを行えるように祈ります。
- 肖迪中山大学3年生
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素敵な皆さんに恵まれ、充実した楽しい一週間を過ごすことができました。一緒に活動を準備したり、遊んだりして、最後無事に文化祭を開けることができて本当に楽しかったです。文化祭の司会もやらせて頂きまして、自分の足りないところが発見できて勉強になりました。陰に陽に支えてくれた皆さんに感謝しています。ディスカッションは結局台風のせいで出来ませんでしたが、またみんなで集まって開催することができれば嬉しいというふうに思っています。
- 鄧頴嵐中山大学3年生
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一生懸命準備して、みんなと協力して、いろいろ勉強になりました。すごく良い人にも出逢って、友達になって絆を結んでけっこううれしいです!みんなの笑顔が絶対に忘れられないものです!
- 翁愷婷中山大学3年生
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今回の活動を通して、東京大学の皆さんとも、先輩後輩たちとも交流ができて、勉強になりました。一緒にイベントの宣伝をしたり、準備をしたりして、忙しいけど、本当に楽しかったです。短い一週間だが、とても充実で有意義な時間だと思います。
- 李敬陽中山大学2年生
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今回のイベントに参加できて本当に良かったです。一緒に準備活動を行った数か月は、充実した楽しい日々でした。国も民族も文化的背景も異なる大学生たちが一緒に一つの目標のために努力する姿を見て非常に感動しました。今後もこのような活動がますますたくさん開かれることを期待しています。
- 張莉唯中山大学2年生
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今回のイベントに参加して、日本からの皆さんに出会えて本当によかったと思います。この数月間コスプレ屋台の一員として、みんなと一緒にいろんなことを討論しました。疲れるときもあったんですけど、やはり楽しいときが多かったです。文化祭の日、私は紫之創というキャラをコスプレしていて、他の二人のメンバーと一緒に白玉とそうめんを作りました。すごく短い時間でしたが、私にとって大切な思い出です。こんなにすばらしいイベントに参加できて、本当に幸せだと思います。
- 楊燁婷中山大学4年生
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この三ヶ月間、みんなで協力してイベントを準備して、毎日が充実していて楽しかったです。最後の日は台風のせいでディスカッションができず残念でした。でも、徐先生に「残念に思うことは必ずしも悪いことではないよ」と慰められました。今回の活動を通して、東大のみなさんと素敵な絆を築くことができ、貴重な思い出が出来て良かったです。次会えるのを楽しみにしています。
- 李翠蘭中山大学4年生
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今回のイベントに参加できて、ほんとにうれしかったと思っています。三カ月も準備してきて、いろいろ迷いましたが、何とか文化祭を無事成功させることができました。それは東大生と中大生全員の努力からであると思います。準備の段階でも、実施中でも、みんなの素晴らしさに感動しました。台風のせいで、ディスカッションは中止されて、とても残念でしたが、またいつか、きっとディスカッション部分を完成させます!
- 胡雅頴中山大学4年生
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東京大学のみんなと出会えてよかったと思います。今回のイベントを通じて、日本の伝承遊びとか、服装とか、日本文化の魅力を一層深く理解することができました。日本の皆さんと一緒に過ごした時間は短かったのですが、本当に楽しかったです。いい思い出を作ってくれて、ありがとうございました!
- 王羽晴中山大学4年生
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この度のイベントを通して、東京大学の皆さんと知り合うことができて、皆さんで力を合わせて成果を出して、この夏の最高の思い出を一緒に作り上げて、本当に楽しかったです!この形で出会ったのも、不思議なご縁だろうか。今度のイベントで、チームワークの大切さを実感し、異文化交流の魅力を再び感じて、大変勉強になりました。これからも、皆さんとのご縁を大切にしていきたいと思います!
- 宋歌中山大学4年生
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今回の異文化交流活動は「意外」でいっぱいでした。この短い期間で様々な意味において一生忘れることのできないような思い出ができるとは、3ヶ月前の私は思ってもみませんでした。この機会を通して、出自・教育・社会的文化的背景の異なる同年代の若者たちの生活の現状や難解な心理状態について理解を深められました。残念なこともたくさんありましたが、それでもやはり美しき思い出です。志を同じくする優秀な仲間たちに出会うことができ、未来において、この思い出は私を励まし、より良い自分へと成長させてくれることでしょう。みんなありがとう。いつかまた会えるといいな。東京大学と中山大学のみんなへ、愁ふるなかれ前路に知己無きを、天下誰人か君を識らざらん。
- 聂慧怡中山大学4年生
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今度のイベントを通じて、いろいろ勉強になりました。日本人大学生と友達になって本当にうれしいです。日本の浴衣の着方を勉強して、今は自分で浴衣を着ることもできます!そして、日本と中国の伝統ゲームも体験しました。けん玉はとても難しい、でも面白いですよね。
- 王鷺庭中山大学4年生
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文化祭当日、ミス·ミスターコンテスト授賞式が終わった瞬間、頭が湯煙のようにぼんやりしていました。その時やっと、この一日、この一週間、この3ヶ月間何を成し遂げたのか、ハッと気が付きました。どれほど完璧にこなせたかは置いておいて、私はやり遂げ、一人前の人になり、成長することができたのは確かです。また、初めて日本人の本当に友達と呼べる友達が出来、詩歌、書物、音楽から古典、哲学、文学、そして人生についてまで語り合うことができ、とても悦ばしい気持ちです。建築家の安藤忠雄氏は、これを「身を持った友人関係」と呼びます。私は今回の活動を通してこれを得られたと確信しています。それだけに、一期一会とは悲しいものです。東京と広州は海を跨ぎ、千里隔てられているけれど、これからも東京大学の皆さんは私たちの心の中に生き続けます。ましてや、時の差も小さいですし、同じ月を眺めて思いを寄せ合うこともできます。
- 邱若敏中山大学2年生
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今回のイベントを通してとてもたくさんの幸せを感じさせてもらいました。みんなで力を合わせて頑張っている景色はとても素敵な思い出として心にしまっておきます。本当に良い経験になりました。限られた時間でしたが、みなさんと知り合ってよかったです。ありがとうございました!
Galleryその他の交流
到着
全体ミーティング
イベント準備
グループミーティング
物品購入
ステージ設置
会場設営
リハーサル
文化祭当日
台風のため
終日宿舎待機
送別会
帰国