イベントレポート
西寧ふれあいの場 北京訪問
2012年6月1日から4日まで青海学生北京研修が行われました。今回の研修は「西寧ふれあいの場」が企画・実行し、国際交流基金のご支援で実現致しました。
これまで日本人学生が西寧へ来て交流会を行うことはありましたが、青海省の学生自らが外に出る企画は初めてです。青海省に住む日本人は10名程度しかおらず、日本に関係したものもほとんどありません。せっかく日本語を勉強しても、なかなか使うチャンスがないのが現状です。そこで、「習った日本語を使ってみる」「体験や交流を通じて、広い視野を養う」「今後の勉強に役立つことを見つける」という3つの目標を掲げ、研修を行いました。
参加者は日本語教育機関4校からの計10名、北京での引率は「西寧ふれあいの場」中国人スタッフ1名と、青海民族大学日本人日本語教師1名です。北京研修前後にも研修が行われ、そこには多くの中日日本語教師も協力してくれました。
事前研修ではメンバーの顔合わせ、北京での研修先の調査、インタビュー内容の作成や自己目標決定などを行いました。青海省の学生は受け身な授業に慣れてしまっており、自分で「調べて」「考えて」「まとめる」という作業は非常に苦手です。インターネット上で映画などを見ることは出来ても、調べて分析することは難しく、初めは一つのことを調べるのに膨大な時間がかかっていました。ただ繰り返し作業するうちにコツをつかみ、また仲間と助け合って調べるということも出来るようになりました。
四日間の事前研修の後、いよいよ北京に出発しました。ほとんどの参加者が初めての遠出、しかも飛行機初搭乗ということで非常に盛り上がっていました。一日目は国際交流基金北京日本文化センターの見学、夜はセンター副所長主催の夕食会が設けられました。二日目午前は「良いインタビューの仕方」を考える日本語講座、午後は大使館広報文化センターの方へのインタビューとイトーヨーカドー見学、夜はセンター所長主催の日本料理食事会が開かれ、初めて日本料理を食しました。三日目は日本人留学生と山登りをしながら交流を深め、四日目は北京日本人学校を見学し、帰路に着きました。
盛り沢山の四日間の中で、学生達は北京日本文化センター職員さん達の温かさ、大使館広報文化センターの方々が青海の学生に非常に好意的であったことなどに感動していました。その中でも一番印象深かったのは、日本人学校での授業スタイルだったようです。青海省の教育方法は教師が絶対で、学生は受け身にならざるを得ません。しかし、日本人学校では教師が教えるのではなく、さまざまな体験を通じながら学ばせ、学生は自由に発言していました。「日本が先進国たる所以はこれだと思った」という学生もいました。自分達の学習環境を俯瞰的に見るきっかけになったと思います。
研修開始当初は非常に受け身だった学生達も、研修が進むにつれどんどん積極的に発言し、自主的に集まって作業するようになりました。自分で調べ、考えるうちに、初めて自分に足りない点を発見したり、心から悩んだりしていました。一人一人が本当に真剣に取り組んでいました。
今回の研修では学生にとっても教師にとっても、非常に収穫が大きかったと思います。研修後は彼らが体験したことを他の日本語学習者と共有すべく、3回の報告会を行いました。青海省の日本語学習者にとって「西寧ふれあいの場」は日本文化に触れられるほぼ唯一の場所です。今回参加した学生、教師が中心となり、更に「西寧ふれあいの場」を活性化していってくれればと願っています。