Voice ~参加者の声~ 横田爽花さん
「オンラインで国境を越えて」
名前
横田 爽花 (よこた さやか) さん
プロフィール
学校名:東京学芸大学附属国際中等教育学校
学科/専攻/コース名:Diploma Programmeコース
学年:6年(高校3年生)
私は、国際交流基金日中交流センターによる日中高校生対話・協働プログラム「北京市月壇中学とのオンライン交流『君の街は。你的城市。One-Day Trip をプロデュース!』プロジェクト」に参加しました。2021年9月に活動を始める以前、課外活動で国際交流イベントを企画・運営した経験がありました。しかし、外国人の方々の日本語スキルに合った日本語を話すことや、言語に頼らないボディーランゲージをするときにその場の雰囲気を共有することが難しく、オンライン交流の「壁」を身をもって感じました。その経験から、オンライン交流においてどのようにコミュニケーションを取るべきかという問題がうまれました。この問題を解決したいと思ったことがきっかけで、このプログラムに参加しました。また、中国についてもっと知りたいと思ったことも動機の1つです。合計4回のオンライン交流を通してたくさんの学びを得ることができました。
東京のOne-Day Tripでは、今まで足を運んだ経験がなかった場所もありました。月壇中学の学生に説明するために訪れた場所を詳しく調べたため、日本の歴史や文化をさらに深く知る機会になりました。私たちのテーマである「時間」や「空間」を感じたのは、六本木ヒルズの展望台や浅草寺です。展望台では、高さのある場所から東京の美しい夜景を一望できたことで、技術が発達している時代に生きているということを実感しました。一方で浅草は、日本の文化や歴史を感じることができました。六本木で見た高さのある建物に比べて、仲見世通りにある建物は低い高さで統一していました。また、浅草にはミルクやアールグレイなど、洋風味の雷おこしも販売されていました。伝統的な雷おこしと異なりパッケージも洋風で、形も一口サイズでした。本来の伝統的なものからアレンジして現代の風潮に合わせて作ることで、若者や外国人観光客に注目してもらう効果があると考えます。
合計4回の交流の中で、第4回の交流が1番国際交流の要素を含んでいました。回数を重ねるごとに場の雰囲気が温かくなっていたように感じました。月壇中学の生徒は「日本語を話したい!」という意欲があり、積極的に話してくれました。その気持ちが伝わってきたため、とても嬉しかったです。第3回の交流から期間が空き、久しぶりの交流だったので学生たちの日本語のスキルがどの程度なのかが分からなかったので不安でした。しかし交流中に徐々に把握していき、臨機応変に対応することができました。1番「楽しい!」と感じた瞬間は、お互いに盛り上がるような言葉を使い笑い合ったことです。これまでの交流から、オンライン交流であっても緊張感は相手に伝わり、雰囲気を感じることを知りました。第4回の交流会は、両校ともこれまでにないほどたくさんの人が集まってくれたため、いつもよりもリアクションがありました。いつもより増した賑やかな雰囲気が、月壇中学の生徒にとって話しやすい環境だったのではないかと思います。オンラインでは、静かにうなずきながら聞いているだけでは関心があることが伝わりにくいところがあります。笑い声やあえて大きめにリアクションを取ることはオンラインならではのポイントだと思います。月壇中学のみなさんが私の発表に対して反応やコメントもしてくれたので、すごく嬉しかったです。
発表において、生徒たちが理解しやすいようなプレゼンテーションを行うスキルが上達しました。国際交流基金日中交流センターによる「やさしい日本語講座」に参加したことで、日本語を勉強中の外国人生徒の気持ちに少し近づくことができたと思います。ひらがな表記の場合でも、単語と単語の間にスペースを空けることや、普段省略してしまうような文章は使用せずに単純でわかりやすい文章を心がけるようになりました。それらの点をプレゼンテーションのスライドで活かすことができたため、とても勉強になりました。発表するときは、大きな声でゆっくりと話すことが大切だと思います。
本校(東京学芸大学附属国際中等教育学校)のグループとしては、中国語を使用できる司会の2人がスムーズに進めてくれました。1人の生徒の高いコミュニケーションスキルによって会場全体を笑いに包んでくれました。また、機材の設定や設置は先生方・生徒のサポートのおかげで成り立ちました。交流会を重ねるごとに、突然のトラブルへの対処がスムーズになり、パニックにならない耐性がついたと思います。
国際交流とは、ただプレゼンテーションをして質疑応答をするような”典型的”で”真面目”なものではないということを知りました。オンラインで実際に会ったこともない、距離が離れた場所からの交流でも距離を縮めることは可能です。そのためには、緊張するかもしれませんが、少し冒険して面白い話題をふってみることも重要だと思います。交流会の最後には、フリートークセッションの時間を予定していましたが、自然の流れでフリートークになっていたことは素晴らしいと思いました。「ここからフリートークの時間です。」と言って始めるのではなくて、元の本題から脱線してしまうくらい会話が盛り上がるといった、必ずしも計画通りに行かないことこそが本来の国際交流であると実感しました。
最後に、合計4回の交流会、そしてたくさんの時間をかけて行ったメンバーとのミーティングや準備を通して個人・グループにおいても成長することができました。また今度北京月壇中学校の生徒と交流がしたいと心から思う国際交流でした。いつかオフラインで会えることも楽しみにしています。
令和4年4月23日
東京学芸大学附属国際中等教育学校
横田 爽花