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日本と中国の若者が未来を共に創る

Voice ~参加者の声~ 孫 瑞雪さん

「後悔しない冒険家」になるために

名前
孫 瑞雪(そん ずいせつ)  さん

プロフィール
2000年生まれ、中国遼寧省瀋陽市出身。
2016年9月から2017年7月まで、心連心第11期生として神奈川県横須賀市立横須賀総合高等学校に留学。現在東北大学歯学部3年生。

中学3年生の時、高等部の先輩が教室にきて交換留学の時の体験談を話してくれました。そこで心連心事業について初めて知りました。まさか2年後の秋、同じ事業に参加して来日し、横須賀市立横須賀総合高等学校(横総)で10か月の留学生活を送ることになるとは思いもしませんでしたが、今振り返っても、あの一年間は私の人生の中で鮮やかな色彩にあふれていました。

海軍カレー、ハンバーガーが名物であるなど、横須賀は開放的で懐の深い街です。校内にもハーフの生徒や外国人教師が多数いましたが、その中でも私は唯一の中国人でした。何しろ日本語を学び始めてまだ1年足らずだったため、授業の内容がわからなかったり、同級生との交流で誤解が生まれたりしたこともありました。それでも、みなさんとても親切にしてくださり、特に一緒に学園祭の準備を経験してからは、不安な気持ちがなくなり、徐々にクラスに溶け込んで、色んな活動に積極的に参加できるようになりました。

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留学先の美術部での講評会の様子

幼い頃から図画工作が好きだった私は、横総の校舎内に美術部の作品がたくさん展示されているのを見て、美術部に入ることにしました。横総の美術部は雰囲気が良く、自由な創作に集中できる環境がありました。毎日放課後になると、みんなで美術室に集まってキャンバスを立てたものです。作画に悩んでいる時は、顧問の先生や同級生からアドバイスをもらうこともできました。また、定期的に開催される講評会では、毎回多くの学びが得られました。留学中、美術室で過ごした時間が一番楽しかったです。1年間に複数の作品を完成させ、コンクールでいくつか賞もいただくなど、今考えても人生が輝いていた時間の一つでした。

日本の学期は、中国より半年遅れて始まります。そのため、当時の日本の高校で受けた授業の多くはすでに学んだ内容で、学業面の負担がなく、お陰で新しい物事にたくさんチャレンジできました。体育の選択科目では未経験のソフトボール・剣道・柔道、美術の授業では書道と立体造形を体験したほか、放課後は担任の先生のお誘いもあり、日本の琴を使って何曲か演奏の練習をしました。高校1年生が終わる頃になると、みんなで人生計画を発表します。私もここぞとばかりに色々と練ってみたのですが、まさかその時に考えた幼稚な計画の一部が、数年後の今まさに実現しているとは思いもしませんでした。

私が通っていた東北育才外国語学校では、生徒の半数が日本の大学に進学していたため、私も帰国後の勢いそのままに留学の準備を始めました。高校の頃は理科だけでなく、デザインも好きで、建築設計に大きな興味を持っていたのですが、家族の影響で歯科医になりたいという長年の夢もありました。数年間悩んだ末、大学進学の時期になっても専攻を決めきれなかった私は、最終的に土木学部、工業設計学部、建築学部、歯学部を受験し、総合的に判断した結果、東北大学歯学部に入学しました。偶然にも、横総で発表した人生計画で挙げた志望先も東北大学歯学部だったので、あの頃からすでに伏線が張られていたのかもしれません。

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全日本学生美術展の受賞作品

大学入学後は、かねてより興味のあった陶芸サークルのほか、歯学部の水泳部とスキー部にも入りました。また、普段から趣味でポスターやロゴを描いていた私は、大学2年生になると、友人の誘いで東北大学医学祭の実行委員会に入り、ポスターとロゴのデザイン担当に選ばれました。仙台の街中や通り、バス、地下鉄に自分が今年デザインしたポスターが貼られているのを見ると、少なからず達成感が湧いてきます。以前の横総美術部の同期たちは、その大部分が有名な美術大学に進学しました。ネット上で彼女たちの作品を目にし、みんなで絵を描いていた頃を懐かしく思い出すこともあります。そして今年に入り、東北大学の美術サークルが定期的に美術展を開催していることを偶然耳にし、おもしろそうだったので入部してみることにしました。実際、展示を通じて創作意欲が大いにかき立てられました。自身の学生生活というものは、紆余曲折がありながらも、結局は美術畑に戻ってくるのだと、そう思わされたのです。

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地下鉄構内に貼られた医学祭のポスター

実を言うと、今通っている歯学部は、カリキュラムの多さと専門性の高さにより、進級がとても大変なため、1年のうち少なくとも3か月は毎日図書館に缶詰め状態になります。しかし、大学で毎日勉学に明け暮れるのも嫌なので、学業以外も充実させようとがんばっているところです。もしかしすると、心連心のあの生き生きとした1年があったからこそ、今の生活も輝かせたいと思うのかもしれません。

心連心が私にもたらした最大の変化、それは自身の性格面でした。心連心が終了した後に書いた感想文の中にも、「子どもが時の流れを長く感じる理由は、毎日新しい物事に出会っているからであり、大人が時の流れを早く感じる理由は、いつものと変わらない時間が多すぎるからです」という一節があります。交換留学の時間が限られていることを理解していた私は、今の一日一日が唯一無二かつ新鮮でかけがえのない時間なのだと自分に言い聞かせながら、新しい物事に積極的にチャレンジし、毎日をできるだけ充実させようとしていました。その習慣は、今もなお続いています。これからも一人の「後悔しない冒険家」として、一つひとつの出会いを大切にし、巡り合わせに感謝しつつ、自分自身へのチャレンジを続けていきたいです。

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仙台とスポーツの要素を融合させた、2022年全日本歯科学生体育大会のポスター

東北大学歯学部3年
孫 瑞雪
2022年11月11日

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