Voice ~参加者の声~ 後藤 隆幸さん
難しさから得られた興味と変化
名前
後藤 隆幸(ごとう たかゆき) さん
プロフィール
1999年、埼玉県に生まれる。獨協大学国際教養学部言語文化学科を卒業後、埼玉大学人文社会科学研究科博士前期課程に進学し、2023年修了。獨協大学1年在籍時、国際交流基金日中交流センター(現国際対話部)主催の大学生交流事業にて貴陽ふれあいの場に赴く。現在は上海財経大学外国語学院にて日本語教師として勤務している。研究分野は日中同形語及び類義語。
大学生交流事業に参加したきっかけ
参加を決めたのは偶然の産物でした。ある日、たまたま学内の中国語チャットルームを訪れると、そこにいた先輩方に大学生交流事業について知らされ、さらに私を受け持っていた中国語の先生が私のチーム入りを推薦してくれたため、どういう事業かもわからなかったものの、単純に「面白そうだ」という理由で参加を決めてしまいました。そしてその先輩たちと「獨協GOHKIS」というチームを結成し、応募しました。応募に向けた準備段階でどんどん中国のことについて関心を持つようになり、日を追うごとに参加したいという気持ちが強くなっていきました。
事業実施
紆余曲折あったものの審査に通り、中国の学生との話し合いが始まった際、一つの事業を行うことの難しさと楽しさを知りました。第2外国語として中国語を学習してはいたものの、中国そのものには関心がなかったこともあり、当時はあまり使い物にならずWeChatでやり取りをする中では、購入品や設計などの点でお互いに誤解をしてしまったことも多くありました。貴陽に渡航をした段階でさえ、イベントがうまくいくかは自信がなかったものの、一緒に買い出しにいったり、セットを作ったりしていくなかで成功するイメージが出来上がってきました。
私たちは日本のお祭りをテーマとした「祈願祭典」というイベントを催しました。イベント当日には多くの来場者が訪れ、満足している様子を見たとき、大きな達成感を得ることが出来ました。これは、貴陽の学生たちと共同で乗り越えることができたからこそ得られたものだと思います。一緒にイベントを成功させたカウンターパートと日増しに仲良くなった結果、別れるときには言いようのない喪失感に追われたのも記憶しています。
また、貴州大学・貴州民族大学での日本語授業も非常に有意義なものでした。中国の学生と話す中で、日本語学習への強い意欲を感じて、自分自身も言語学習へのモチベーションが上がったほか、直接学生と交流できる日本語教師という職業に興味を持つきっかけになりました。
興味の変化
大学生交流事業を機に大きく自分が変わりました。それまで全く履修していなかった中国関連の講義を多く履修し、中国語の学習時間も大幅に増やしました。また、自分の出身中学に蘇州からの小学生が来た際に、ボランティアで通訳を行うなど、自分の周りで中国に関するイベントがあれば積極的に参加するようになりました。2020年に予定していた中国への留学は感染症拡大で中止となりましたが、興味が尽きることはありませんでした。その中で、日中の言語の壁について考えることも多かったため、大学院では日本語教育学を専攻し、日中で同じ漢字でも意味が違う同形語や誤解を生みやすい類義語について研究することとしました。その後、縁があって貴州で興味をそそられた日本語教師になりましたが、現在でも日本と中国の人々がより仲良くなるためにはどうしたらよいのか、答えのないテーマではあるものの、イベントから5年経った今でも考えています。
この事業全体を通して様々な意味で自分自身の考えが大きく変わるものだったことは間違いありません。連絡をスムーズに行うことや言語学習の重要さを学んだという部分から、専攻の変更という部分まで、大学生交流事業をきっかけに変わりました。そして、「なんでもやってみる」というチャレンジ精神も鍛えられました。今後、人生において何らかのことを挑戦するか悩んだ際、自分を変えるチャンスだと考えて積極的に挑戦してみようと考えています。
上海財経大学 日本語教師
後藤 隆幸
2023年6月30日